激しい運動はかえって老化を促進させる
この年代の平均は3500〜4000歩ですから、約2倍。その日々のウォーキング習慣が、脳の老廃物をきれいにする力を保っていたのです。
「運動は、脳のバリア能力を上げ、なおかつ機能も鍛えることのできる最良の手段の1つ」ということは、おわかりいただけたと思います。ですが、いくら運動が健康によいからといって、これまでほとんど運動をしてこなかった人が、いきなりフルマラソンを走るような、急な激しい運動をするのはよくありません。
筋力も心肺機能も衰えている状態でハードな運動をすると、捻挫や肉離れなどのケガにつながりやすく、心臓にも負荷がかかります。ぎっくり腰や転倒して骨折というケースも珍しくありませんし、血栓ができて心臓病のリスクが上昇することもあります。また、激しい運動をすると呼吸量が急増して、体内で大量の活性酸素が発生します。
若返るどころか、老化を促進することになります。若い人でも運動不足の状態から急に動くのはリスキーです。まして、中高年になって「このぐらいなら大丈夫だろう」などと、いきなり運動すると痛い目にあいます。筋力が弱っていると、自分が思っている以上に、体は急激な運動に耐えることができません。それに、ハードルが高すぎると、億劫になって続きません。
特別な技能もいらないおすすめの運動方法
「これなら楽しくできそう」という程度のゆるーい運動からはじめて、少しずつ体をならしていきましょう。たとえば、お散歩がてら家の近所を歩くというのでも構いません。大事なのは、それを毎日続けること。運動レベルは低くても、体を動かすことを習慣化することが、筋力や心肺機能を高めるトレーニングにつながります。
そうして、トレーニングを積んでいくと、次第にさまざまな機能が鍛えられ、体内の抗酸化酵素も活性して、運動強度をあげても酸化しにくい体になってきます。「カエルとんでも休みが長い」ということわざがありますが、まさにそう。たまに激しい運動をしても効果はありません。運動の健康・若返り効果は、続けることで得られます。
「おすすめの運動はありますか?」
このように聞かれると、私は必ず「歩くこと」をおすすめします。運動器障害などのない限り、基本的に人は歩いて生活しています。ですから、特別な技能も道具も必要なく誰でも気軽にできますし、自分のペースで運動レベルを調整できるので継続しやすい、というのもおすすめポイントです。
普段、当たり前に歩いていると気づきにくいものですが、「歩く」というのは全身運動であり、結構な健康効果があります。歩くためには、足腰の筋肉だけでなく、上体を安定させるために背筋や腹筋など体幹部の筋肉も使うので、全身の筋肉がバランスよく鍛えられます。

