女性が外で働ける→子どもを産みやすい
つまり、九州では、先述した東北における介護の状況とは正反対のあり方が見られるということだ。
直系家族の規範が強い東北では家庭内の介護が中心なのに対して、九州では老人ホームやホームヘルパーのように市場経済のなかでの介護が発達している。そのため、家族にとっては介護の負担が少なく、また女性の就業機会も確保される。そうした状況が、結果的に九州の出生率の高さにつながっているとも考えられるだろう。
とはいえ、近年は、九州に限らず東北を含めた日本全体で介護産業が伸長しており、東西パターンは徐々に解体される傾向にある。また、現状として介護職の給与は高いとは言えず、ケア労働が女性に押し付けられているという問題も残る。
そうしたいくつかの点に留意する必要はあるが、現代に至ってもなお、伝統的な家族形態の差が出生率や介護のあり方に影響を与えているのは興味深い。
*1 山内昌和・西岡八郎・江崎雄治・小池司朗・菅桂太「沖縄県の合計出生率はなぜ本土よりも高いのか」『地理学評論』Series A 93 (2), 85―106
*2 益田仁「なぜ九州は出生率が高いのか︱九州の出生・育児に関する予備的考察」『中村学園大学発達支援センター研究紀要』13, 18–27.
*3 清水浩昭『高齢化社会日本の家族と介護︱地域性からの接近』時潮社


