女性は東北を離れ、どんどん東京へ
都道府県ごとに性比が異なるのは、進学や就職にともなう人口移動のあり方が男女で異なるからであり、その根底には家族形態の差異がある。単純化して言えば、東北の男性は家を継ぐために地元に残るか、移動したとしても戻ってくる傾向が強い。それに対して、九州では長男であっても地元を離れることが多い。
一方で女性の場合、男性とは反対に東北のほうが東京への流出が激しい。一般的に女性の居住地移動は男性よりも近い距離で行われるため、東京から離れた九州においては、女性の移動は自県内か、せいぜい福岡に留まることが多い。しかし、東北の場合は東京が近く、女性も東京へ向かう。
したがって、東日本は男性が多く、西日本は女性が多いという差異が生まれる。なお、こうした傾向が現れ始めたのは、女性の大学進学率や就業率が向上した1990年代以降のことである。
九州は「医療・福祉」で働く人が多い
こうした性比の差は、産業構造とも関係している。図表6は、都道府県ごとに「医療・福祉」従事者の割合を示したものである。西日本、特に九州は「医療・福祉」の従事者割合が高い。「医療・福祉」は産業大分類のうち最も女性の比率が高い産業であり、全体の約75%を女性が担っている。このことは、九州に(給与はともかく)女性の働く場が多く存在することを意味する。
西日本で医療・福祉が発達している状況は、従事者数以外の指標においても見て取れる。図表7から分かるように、人口あたりの医療費や医師数、受療率、病院数など、さまざまな指標において、東日本よりも西日本のほうが全体的に高くなっている。
西日本で医療・福祉が発達している理由はいくつか考えられているが、ここでもやはり家族規範の影響が指摘されている。
家族社会学・人口学を専門とする清水浩昭によると、親世代が隠居後に別居する慣行を持つ西南日本型家族においては、家庭内で介護労働力を十分確保することができないため、介護を外部に委ねる傾向が強いという(*3)。


