不要な気疲れで時間を消耗してはいけない

にもかかわらず、多くの人は現役時代の延長線上で人間関係を抱え込み続けます。その結果、不要な気疲れや義務感に時間を消耗してしまうのです。

佐藤優『五十歳からの知的撤退戦』(宝島社新書)
佐藤優『五十歳からの知的撤退戦』(宝島社新書)

人生後半において重要なのは、人脈の量ではありません。むしろ、「自分の精神状態を安定させる関係」をどれだけ残せるかです。会った後に疲弊する相手、無意味な競争心を刺激してくる相手、過去の立場に執着したまま接してくる相手とは、意識的に距離を置いたほうがよい。

限られた時間と体力を、防御的に運用する必要があるからです。ここで必要なのは、「すべての縁を大切にしなければならない」という発想から離れることです。人間関係は本来、固定資産ではありません。時期や環境によって自然に役割を終えるものです。

にもかかわらず、日本社会では「切らないこと」が美徳として語られやすい。しかし実際には、関係を整理しなければ、新しい余白は生まれません。人生後半では、「誰と付き合うか」は、そのまま「どう生きるか」に直結します。人間関係の整理とは冷酷さではなく、残された時間を守るための戦略なのです。

オフィスで頭を抱えるビジネスマン
写真=iStock.com/maroke
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