おやつを食べるのも効果的
アポもない、他部署を訪れる口実もないというとき、次善の策として有効なのが「御八(おや)つ」を食べる方法である。昔の人は経験的に「八つ時」(午後2時ごろ)に眠くなること、菓子類を食べると目が覚めることを知っていた。現代人のおやつとしては、脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖を手軽に摂れるチョコレートが手軽でよい。
できれば給湯室などに置いてある冷蔵庫で冷やしておくと甘さと冷たい刺激が同時に得られ、より早く脳が活性化する。そのメカニズムを説明すれば、口の中に入れたチョコレートの冷たさが、咀嚼の運動を支配する三叉(さんさ)神経を通じた刺激となって脳の血管を広げ血流が良くなる。するとブドウ糖が脳にどんどん送られ、美味しいと感じるドーパミンという快楽ホルモンが分泌されて、脳の働きがさらに良くなるというわけだ。
チョコレートがなければキャンディでもビスケットでもいいが、だらだら食べ続けたのでは緊張感を失い逆効果になるし、周囲に与える印象も悪い。おやつの時間は5分、10分で切り上げるようにしよう。
眠気覚ましのためとはいえおやつを食べにくい雰囲気の職場だってあるだろう。健康面から糖分を控えている人もいる。そんなときは軽いウオーキングを試してみよう。外出する用事をつくって会社の周りを30分程度歩くだけでいい。すると幸せ感や安心感が得られるセロトニン、神経を興奮させるノルアドレナリンといった脳内物質がすべて活性化してきて仕事への意欲が高まるはずである。
眠気に襲われる時間帯を上手に使って、午後の仕事を効率よく終わらせよう。
医学博士 米山公啓
1952年、山梨県生まれ。作家、医師(神経内科医)。『知らないと損する 脳の上手なつかい方 6つの習慣』など著書多数。『女はなぜ、突然キレるのか』など電子書籍も好評。
1952年、山梨県生まれ。作家、医師(神経内科医)。『知らないと損する 脳の上手なつかい方 6つの習慣』など著書多数。『女はなぜ、突然キレるのか』など電子書籍も好評。
(構成=山本信幸)