戦場でドローンを使うのも初めて

また、2025年2月25日に配信された日本経済新聞の記事によると、脱北元兵士が「ドローンとの交戦は初めてだろう」と語っている。局地的な衝突や特殊作戦の経験はあっても、ドローン、電子戦、精密火力、衛星・通信情報が同時に絡む戦場を部隊単位で体験することは、従来の訓練では得にくかった。

飛行する多数の軍用ドローン
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ウクライナ戦争を経た北朝鮮軍は、もはや完全に実戦から隔絶された閉鎖国家の軍隊ではなくなりつつある。失敗をした軍隊は弱い。しかし、失敗を持ち帰って訓練に変える軍隊は、次に違う姿で現れる。日本が警戒すべきなのは、まさにその小さな変化だ。

軍隊が学ぶのは、派手な新兵器の使い方だけではない。集合場所をどこに置くか、無線をいつ切るか、車両をどこで止めるかという細部も、軍隊の強さに大きく影響する。

ついに「実戦的な訓練」が始まる

帰還兵の経験は、本人の武勇伝で終わらない。北朝鮮のような強い統制を持つ軍では、戦場で得た教訓が上から下へ、また下から上へと吸い上げられ、訓練や部隊運用に組み込まれる可能性がある。地雷原の進み方、砲撃下での散開、負傷者の後送、夜間の移動、塹壕の掘り方、通信を切られた時の行動。こうした細部が、次の兵士に教えられていく。

2026年5月18日に更新されたロイターの記事によれば、金正恩氏は全軍の師団長・旅団長級の指揮官会議で、現代戦の変化を反映して訓練体系を調整し、実践的な訓練を拡大し、作戦概念を再定義するよう求めたとされる。

もちろん、この会議だけで帰還兵の経験がすべて教範化されたと断定することはできない。だが、北朝鮮指導部が「現代戦に合わせた訓練変更」を語っている時期に、ロシア派兵の経験が蓄積されている事実は軽くない。生還した下士官や将校が訓練部隊に戻れば、新兵教育の内容は変わる。指揮官が会議で報告すれば、作戦計画の前提も変わる。

帰還兵が教えるのは、勝ち方だけではない。むしろ重要なのは、死に方を避ける方法だ。ドローンに見つからない移動、砲撃前に散る判断、補給が切れた時の行動は、朝鮮半島に戻れば部隊の生存率を上げる知識になる。

なお、2026年5月7日に配信されたロイターの記事によれば、韓国当局者や専門家は、北朝鮮がロシアへのミサイルや砲兵装備の供給を通じて自国兵器に関する貴重な戦場データを得ているとみている。命中精度、不発率、輸送中の劣化――兵器の戦場での「採点表」も、兵士の経験と並んで朝鮮半島に蓄積されている。