母を師匠として、ともに働くということ
母が立ち上げた大人のトータルビューティを提案するプライベートサロン「KAWABE. LAB」。そこに私が加わるようになり、オープンから31年が経ちました。お互いにリスペクトし合い、意見をぶつけ合いながらも、親子2代でここまで続けてこられたことは、まるで奇跡のように感じます。
最初は母のテリトリーに入っていくような感覚があったし、彼女はそれこそ美容のプロなのだから、他業界で働いてきた私に何ができるだろうという思いはありました。彼女の師匠である義理の母親(私の祖母)がまさに「背中を見て学びなさい」という指導だったからなのか、母も同じく決して手取り足取り教えるタイプではありません。私も母の一挙手一投足を見て覚えていったのです。
母には母の美意識があり、私には私なりの意見がありますから、ぶつかり合うことはもちろんあります。ただ現場での仕事の流れについては、不思議なことにバチっと気が合いました。たとえば「この案件の主役は誰か。となると誰をいちばんサポートすべきか」「今日の現場の動線はどうなっているか。ならばどこを優先して整えるべきか」など。仕事の“肝心要”というのでしょうか。その見極めが同じで、言葉にせずとも最善の方法が取れるのはすごくラクなことでした。
これまでずっと語ってきたとおり、幼少時代から離れて暮らし、お互いに自立して生きてきた母と私。年齢を重ねて一緒に仕事をすることになり、改めて気づいたことがあります。それが「母は、人そのものがこんなにも好きなんだ」ということ。それは新たな発見でもありました。

