海外の基準はどうなのか
「日本では、建物がどれくらい“すき間だらけ”かを測る義務がありません。多くの北米の地域では考えられないことです。」
こう指摘するのは、米国の建築事情にくわしい岡田早代さんです。
岡田さんは、米ウェントワース工科大学大学院で客員教授を務め、米国を拠点に住宅設計を行ってきた、建築家です。
岡田さんによると、北米では「ACH(Air Changes per Hour)」やCFM(Cubic Feet per Minute)という指標が用いられているそうです。
ACHは時間あたりの室内の空気が何回入れ替わるか示すもので、CFM/SFは外皮面積当たりの漏気量を示すものです。
米国の多くの州や市では、国際エネルギー保存基準(IECC)に基づき、新築住宅・建築物に気密測定が義務付けられています。州などによって基準値は異なりますが、具体的な上限値が定められ、ブロワードア試験で実測されます。
ブロワードア試験とは、写真のように、玄関などに大型ファンを設置し、建物内を強制的に加圧・減圧して空気漏れ量を測定する検査です。基準を満たさなければ是正が求められ、建物の使用許可が下りないという厳しい条例を設けている自治体もあります。
例えば、ニューヨーク市では、漏れる空気の最大値(Air Leakage Max)は表(最下段)のように定められています。
戸建住宅だけではなく、集合住宅や非住宅建築物も規定の対象です。
ちなみに日本では、気密性能というと対象は戸建住宅にほぼ限定され、集合住宅やオフィスビル等の非住宅建築物で議論されることはほぼありません。
さらに戸建て住宅を手掛ける工務店のなかでも、一定の気密性能を約束し、気密測定を全棟実施するような取り組みを行っているのは、ごく一部に限られます。
当社は、このような気密性能にこだわっている全国の工務店と提携して、新築や断熱リノベを計画している方々に無料でご紹介しています。ですが、エリアによってはこのような工務店がなかなか見つからないのが実情です。
気密性能について、北米が特別先進的なわけではありません。欧州の国々でも、表のようにかなり厳しい基準が定められています。国際的にみても、日本の気密性能への取り組みの遅れはとても顕著なのです。




