芝生に国際旗が掲げられたサッカーボール
写真=iStock.com/Leonardo Moreno
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何年にもわたる準備と、数十億ドル規模の経済効果への期待によって、2026年FIFAワールドカップ(W杯)は、アメリカにとって勝利の凱旋になるはずだった。

「私は才能ある人々からなる素晴らしいチームとともに、この件に懸命に取り組んだ」。アメリカがカナダ、メキシコとの共催権を獲得した際、トランプはXにこう投稿した。「われわれは決して失敗しない。素晴らしいW杯になるだろう!」

アメリカ建国250周年と重なるこの大会は、アメリカにとって栄光の年となると同時に、観光業を大きく押し上げるものとして位置づけられてきた。

しかし、現実は非情なようだ。開幕までわずか1か月となる中、ホテルの予約は伸び悩み、チケットは売れ残り、旅行者からは非難の声が上がっている。W杯は期待外れに終わる危機に直面しているのだ。

本誌はFIFAにコメントを求めている。

恩恵は300億ドルにも上ると試算されていたが

FIFAとジャンニ・インファンティーノ会長は、48チームが参加するW杯をサッカー全体にとって、ひいてはアメリカにとって極めて重要な機会だと位置づけてきた。

アメリカは、7月19日にメットライフ・スタジアムで行われる決勝戦を含めた全104試合のうち78試合を、11都市で開催する予定だ。

FIFAは昨年3月に世界貿易機関(WTO)と共同で発表した調査で、この大会が801億ドルの総経済効果を生み出し、その恩恵のうち305億ドルがアメリカにもたらされると予測した。

そして、押し寄せるファンは、試合が行われる都市だけでなく、あらゆる業種の企業や各都市にもお金を落とすと見込まれている。

全米旅行協会は「W杯目的で訪れる外国人旅行者は1人あたり、通常の海外旅行の1.7倍にあたる5000ドル超を使う見込みだ」と期待を隠さない。同協会によると、海外からの訪問客の約3分の1が2週間以上滞在するつもりである他、80%超が「主要な玄関口となる大都市以外の目的地を訪れることに前向き」だという。そして、「全米各地の地域社会に経済的なチャンスをもたらす」と結論付けた。

国も各都市も大会に備えるため、長年にわたり計画を立案し、警備やインフラに数億ドル規模の支出を行ってきたという。

現実は厳しい

しかし、どれほど高い約束が掲げられ、費用のかかる準備が進められてきたとしても、旅行、チケット、ホテル稼働率に関するデータは、(少なくとも経済面では)FIFA会長が昨年豪語した「104のスーパーボウル」(全104試合がアメリカ最大級の盛り上がりを見せるスポーツイベントのように盛り上がるという意)にはならないことを示している。

インファンティーノは2月、「すべての試合(のチケット)は完売している」と述べたが、ウェブサイト上でチケットがまだ掲載されていることを指摘されたFIFAは、この発言を後退させざるを得なくなった。実際、開幕4週間前の現在でも、「直前販売」枠で多くのチケットがまだ購入可能となっている。

転売・再販市場でも同様だ。スポーツやコンサートなどのチケット価格を追跡するウェブサイト『TicketData.com』によると、ほぼすべての試合のチケット価格が急落している。

例えば、サウジアラビア対カーボベルデ戦のチケットは2025年12月には約600ドルだったが、今年4月には234ドルにまで下落。現在はさらに下落しており、約160ドルで購入可能だ。

これは、ファンの需要が予想より弱いことを示している。インファンティーノは以前、この大会の吸引力を「W杯1000年分が一度に来る」と豪語していた。しかし現時点では、チケットだけでなく、大会を支える宿泊や旅行などの関連サービス全体でも、需要より供給が上回っている。

追い風が想像以上に控えめ

旅行指標も需要の弱さを示している。フォーブスによると、2025年10月~2026年1月の予約期間において、7月のヨーロッパ発アメリカ行き航空券予約は前年同期比14%減となった。

開催都市行きの航空券も、2025年12月~2026年1月に行われた6月分の予約が、ヨーロッパからは5%、アジアからは3.6%減少した。

そしてホテルがその下流の状況を物語っている。英『フィナンシャル・タイムズ』によると、複数の開催都市で、試合日の客室料金はピークから約3分の1も下落している。

12月時点では、米金融会社ベアードの調査部門は、W杯によってホテルの客室1室あたりの売上高が0.75~1%伸びると見込んでいた。しかし同社のシニア調査アナリスト、マイケル・ベリサリオは本誌に対し、現在では伸び幅を0.25~0.5%程度に下方修正すると語った。

その理由の1つとして、「外国人旅行者がアメリカに来ることをためらっている」ことを挙げている。

飲食・ホテル業界向けの求人・業界情報サイト『オイスターリンク』も、アメリカのホテル業界にとっての追い風は「過去のW杯と比べて控えめだろう」としている。