田原総一朗氏

【田原】ちなみに古市さんは、自分の職業を何だと思っているのですか。古市「社会学者」という肩書が多いです。でもこだわりはなくて、作家でも企業経営でもいい。津田さんは?

【津田】ジャーナリストと名乗っていますが、本やメルマガを出したり、大学で教えたり、ビジネスもやっています。本業が何なのか、もうわからない。

【古市】津田さんみたいに、自分がやりたいことと社会が求めることが結びついている働き方は理想的です。ただ、それだと24時間仕事をしているのと同じになりますよね。津田さんは、いやになったりしませんか。

【津田】うーん……、ずっとこれだし。

【田原】僕がこの年まで現役で仕事している理由は2つある。やたらに好奇心が強いこと、いやな仕事はしないこと。

【古市】休みたいと思わないのですか。

【田原】まったくない。昔、作家の松本清張に「推理小説を書くのに疲れたらどうしますか」と聞いたら、「邪馬台国をやるんだ」。つまり根っから仕事が好きなのよ。僕とか堀江さんも同じ。もし仕事に飽きたら、次の仕事にいくだけだから。津田さんも古市さんも、そんなに変わらないんじゃない?

【津田】休みは基本的にないです。時間があれば地方に行って地元の人と飲んだりしますけど。半分は仕事みたいになっている。

【古市】僕も休みの感覚はないです。スマホを持っていたら、結局メールの返信とかしなくちゃいけないじゃないですか。スマホで場所に縛られなくなったというのは、24時間いつでも支配されることの裏返し。そういう環境に耐えられる人と耐えられない人では、生き方も働き方も変わってきますね。

【田原】僕たちと違って、会社員には休みが必要だと思う。会社員は上から指示された仕事をしなきゃいけないから、おもしろいわけがない。僕は休みなんていらないけど、それは好きなことをやっているから。上の指示で動かざるをえない人は、仕事とプライベートの境目がない環境には耐えられないよ。