毎日毎日たくさん歩かなくてもいい

次に血糖値への影響です。食事で取り込まれた糖分(エネルギー)は、本来、筋肉で消費されるものです。運動を習慣にすると、インスリンの効きが良くなり、血液中の糖分がスムーズに筋肉に取り込まれるようになります。これを「インスリン感受性の向上」と呼びます。

運動は、血管内の余分な糖を効率よく燃焼させ、血管壁が糖によって傷つく「糖化」を防ぐための最も有効な手段の1つなのです。

「運動は苦手だから」と敬遠する必要はありません。1回20分ほどのウォーキングを週に数回行うだけでも、血管の若返り効果は確実に表れます。運動によって血圧が安定し、血糖値が下がれば、心臓は余計な力を使わずに血液を送り出せるようになります。

運動は、あなたの心臓に「ゆとり」を取り戻すための最高のプレゼントです。10年後、20年後のしなやかな血管と力強い心臓を育むために、今日から1歩を踏み出しましょう。

屋外で運動する若い女性
写真=iStock.com/west
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「運動してはいけない人」の条件

心臓を若々しく保つために運動が不可欠であることは間違いありませんが、心臓に何らかの不安を抱えている方や、すでに治療中の方は一度立ち止まってください。適切な負荷は薬になりますが、不適切な負荷は毒になってしまうのです。

運動を安全に、そして効果的に行うためには、まず「今の自分が運動をしていい状態か」を正しく見極める必要があります。

まず、絶対に運動を控えて治療に専念しなければならないケースがあります。未治療の心疾患がある、あるいは治療を始めたばかりで病状が不安定な時期。また、重篤な不整脈がある場合や、心不全が悪化している最中も、運動による負荷は極めて危険です。

さらに、血圧が極端に高い(収縮期血圧180mmHg以上、または拡張期血圧100mmHg以上)、あるいは空腹時血糖値が250mg/dL以上あるといった場合も、まずは数値の安定を優先させなければなりません。