記念品は「加入者の子どもだけのもの」なのか

入学式、卒業式、運動会などの学校行事で子どもに記念品を配る場合も、会費から賄うことがある。鉛筆やノート、消毒用アルコールなどの比較的安価なもののこともあれば、マグカップやTシャツなど比較的高価なもののこともある。

これについては時々、「PTAに加入しなければ、あなたの子どもだけ運動会の記念品がもらえなくなる」と言ってPTAへの加入を強いるケースなどが、SNSなどで話題になる。

厳密にいうと、PTAの会員はあくまでも保護者であり、子どもは会員ではない。学校の教育活動や行事のなかで、PTAの構成員ではない子どもたちに記念品などを贈るのであれば、すべての子どもたちに公平に贈る必要がある。保護者が会員である子どもや、担任教員が会員である学級の子どもたちのみに配布するようなことは、教育基本法第4条1項の掲げる「教育の機会均等」原則や、第6条1項の掲げる学校の有する「公の性質」に反する可能性が高い。

ここまでに挙げた費用は、効率化の余地はあるし、適切な手続きや管理が必要ではあるが、PTA会費の使いみちとしては問題のないものだ。しかし、そうではないものもある。

プロジェクターやエアコンをPTAが“寄附”

2023年に東海テレビは、PTAから名古屋市の学校に対する寄付総額が、過去5年間で約1億8400万円にのぼっていたと報道した(*5)。高額なものでは、プロジェクター(115万円)やエアコン(89万円)などがあり、本来なら設置者負担、つまり自治体が負担すべき費用である。

このことを報道では、PTAが学校の「第二のサイフ」になっていると問題視している(*6)

同様の事態は、香川県やさいたま市、福島県などでも報道されてきた。

寄附の対象は、高額な備品や設備に限らない。フラットファイルや封筒、インクカートリッジなどの事務用品、教室のカーテンクリーニング代や消毒用アルコール、部活動で使うボールかごやネットを張るポールなど多岐にわたる。

青森県八戸市のある小学校では、駐車場の整備にかかった122万円を、PTA会費と、学校が保護者から徴収した「環境整備費」で賄っていたことなどが、包括外部監査によって明らかになった(「令和4年度 包括外部監査結果報告書」)。

福島県郡山市では、2024年9月までの5年間で、PTAから296件の寄附を受け取っていた学校があることも判明した(*7)。この学校では、PTAの銀行口座の通帳と印鑑が学校で保管されており、日常的にPTA予算で学校に必要な物品購入を行っていたようである。しかも当初、郡山市ではPTAからの寄附は5年間全くなかったことになっていた(*8)。全校調査で初めて、多数・多額の寄附が適切な手続きもなしに行われていたことが明らかになった。

これらは氷山の一角だろう。学校からの要望にこたえてPTAが学校の備品を買う(支払う)という話は、よく耳にする。PTAから学校への寄附は、表に出ていないだけで、全国各地で行われている可能性があるのだ。

*5 2023年5月17日 東海テレビ PTAは『第二のサイフ』か…学校等で“ルール無視”のPTAからの寄付 1億4800万円 名古屋市教委が調査結果公表
*6 東海テレビ かわるPTA
*7 2025年4月19日 河北新報オンライン 福島・郡山PTA費問題 296 件の寄付を受けた小学校も 寄付調査の全回答書を河北新報オンラインで公開中
*8 2024年10月8日 河北新報オンライン 福島・郡山市立小中PTA費による備品購入 全校で過去5年寄付記録なし 専門家「ごまかしの論理か」