相手が誰か、中身にどれくらい精通しているかなどを見極めて、それに合った構成、言葉を選択しよう。使い慣れない言葉が出てくると、読み手はそこで思考停止に陥ってしまう。そんな些細なことで結果は変わらないと思うかもしれないが、合意の連鎖を築くうえではちょっとした言葉にも気を配ることが重要だ。

まず相手を観察し、相手を知ること。口説きたい相手を知り、その心境を想像する。すべての出発点はそこにあると言ってもいい。

図を拡大
なぜあなたの文章は相手をイライラさせるのか?

最後に強調しておきたいのは、通る企画書、人を動かす文章を書くには、その内容自体がよく練られていることが大前提だということだ。次回以降、例題を出しつつストーリーのつくり方、コンパクトにまとめるコツ、言葉の選び方などを紹介していくが、もしかするとこのテクニックを使えばだめな企画書も通ってしまうかもしれない(笑)。出来の悪い企画にOKが出てその場は凌げたとしても、長期的に見れば信頼を失うことにもなる。十分注意してほしい。

博報堂ケトル代表・共同CEO 嶋 浩一郎
1968年生まれ。上智大学卒業後、博報堂入社。企業のPR・情報戦略に携わった後「広告」編集長を務め、2004年に「本屋大賞」を立ち上げる。06年博報堂ケトルを設立。著書は『企画力』『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』など。雑誌「ケトル」の編集長も務める。
(構成=飯島裕子 撮影=向井 渉、宇佐見利明)
【関連記事】
あなたの話がつまらない4つの理由
女に嫌われる話し方、男に嫌われる話し方
伝達センスを磨く「朝5分」ケータイメール習慣
「私、文章が書けないんです」を救う「脱抑制」のプロセス
商談で会話が途切れない「フェルミ推定式」話し方