日本株も株価調整の影響を受ける

現在、世界情勢にとって最も重要なリスクは、トランプ大統領の政策の不透明感だろう。昨年4月の相互関税ショックなどで明らかになったように、トランプ大統領は、何をするか分からない。前回の1期目の政権と異なり、主要閣僚には豊富な経験と専門知識を兼ね備えた実務家が少ないことも懸念だ。

トランプ政策のリスクは、日本企業の事業運営、業績に重大な阻害要因となりうる。米国の要請に基づいて対米投資を積み増したとしても、計画がトランプ氏の思い付きで変更され、結果的に思ったような収益が上がらないリスクは高いと考えられる。

世界的に株価がかなり割高である影響も、頭に入れておくべきファクターの一つだ。今後、世界的に株価が調整するようなことがあると、日本企業にはかなりの打撃があるだろう。株価下落による米国経済の減速は、企業収益の悪化に直結する。

「日経平均6万円」に浮かれていられない

さらに、経済環境の悪化から事業計画通りの収益が獲得できなくなり、減損を計上する企業が増えることもありそうだ。もし、今年11月の中間選挙で共和党が敗北した場合、これまで以上に米国の政治は混沌とした状況に向かう恐れもある。

その際のシナリオは多岐にわたる。大統領の政策実行能力が抑えられることも想定される。民主党も共和党も、党内の利害が食い違い、政策方針を定めることは難しくなるかもしれない。

中国経済が成長の限界を迎えた中、日本企業にとって、米国は最重要市場に位置付けられる。米国の政治的な安定は、ASEANなどの新興国地域の経済成長と政情安定に必要だ。米国の政策不透明感が高まると、日本をはじめ、企業が中長期の視点でリスクを取り、効率的に需要を創出することは難しくなるだろう。

実際、原油価格の上昇や中東情勢の影響を受けやすい、わが国の自動車、航空、物流などの業況は厳しさを増しつつある。イラン戦争を引き起こしたトランプ政策のリスクは、当面、日本経済を強く下押しするだろう。

日経平均株価が一時的に6万円を超えたが、それはIT関連の値嵩株が主導した上昇であり、株式市場全体が勢い良く上昇しているとはいいがたい。トランプ政策のリスク要因を考えると、日本経済の先行きは楽観できない。

証券会社の電光掲示板を見ているビジネスマン
写真=iStock.com/chachamal
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