トヨタすら「ジャンク債」になる恐怖
日本国債のS&P(スタンダード&プアーズ)の格付けは、「A+」です。「BB」以下になると投資不適格債という評価になります。イタリアは「BBB」です。投資不適格債はジャンク債と呼ばれます。
日本はまだA格を保っていますが、その理由は「日銀が国債を買っているからだ」とS&Pの担当者が日経新聞の取材に答えていました。それが本当なら、日銀が国債を買わなくなったら、格付けが下がる可能性があります。
大きな問題は、民間企業は国の格付けを超えられないという大原則がある点です。日本国債がA+である現在、日本で最も企業価値が高いトヨタ自動車の社債であってもA+です。
日本国債の格付けがBBBに落ちると、日本企業はジャンク債しか発行できなくなってしまいます。ジャンク債になると、年金基金など安定的な運用を目指す機関投資家には買ってもらえなくなります。
日本国債の格付けは、日本企業の資金調達にも大きな影響を及ぼすことからも、今後、S&Pなどの格付け機関の発表に注意を払う必要があるでしょう。
加えて、「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)レート」にも触れておきます。CDSは国のデフォルトリスクに対する一種の保険であり、そのレートが低いほど、デフォルトリスクも低いことを表しています。
格付けが「A+」でも円資産は危ない
日本のCDSレートが低いことを根拠に、日本の財政は健全であると主張する人がいますが、CDSレートが示しているのは、デフォルト――債務不履行の可能性だけです。CDSで保険が支払われるのはデフォルトになったときだけだからです。
格付けにしても、CDSにしても、表しているのは、その国のデフォルトする可能性、企業で言えば倒産確率のようなものです。日本国債は、日銀が買っているからデフォルトしない。それがA+にとどまっている大きな理由だとS&Pの担当者は言ったのです。
日本の財政がどんなに悪くても、日本国債がデフォルトするか、日本が資金繰り倒産するかと言えば、それはしないでしょう。資金が足りなくなったら、日銀が通貨を発行しまくることができるのですから。
しかし、日本国債がデフォルトしなくても、日銀が債務超過に陥り、日銀の信用が失墜すれば、日本はハイパーインフレになる可能性があります。このハイパーインフレになるかどうかのリスクは、格付け会社もCDSにも関係ないのです。
したがって、格付けがA+だから、CDSレートが低いから、日本円で資産をもっていても安全だということにはなりません。格付けがA+でも、CDSレートが低くても、円の価値が暴落する可能性は十分にあるのです。


