富裕層の足枷となる「送金制限」
一方で、日本で民泊や貿易などを行おうとして同在留資格を取得する富裕層はどうだろうか。同行政書士によると、昨年10月16日前は「駆け込み申請」が非常に多かったそうだが、今ではすっかり鳴りを潜めているという。富裕層ならば新規の申請でも「3000万円」の要件は軽くクリアできそうだが、問題はそこではないそうだ。
「3000万円は調達できるのですが、それをどうやって日本に持ち込むか? それが至難の業なんです。中国から海外には原則5万ドル(現在のレートで約115万円)までしか送金できません。マネーロンダリングとか地下銀行などを使おうと考える人がいますが、それは絶対に入管(東京出入国在留管理局)に認められません。
富裕層は香港に銀行口座を持っている人がかなりいて、以前は香港から日本に送金する人がいましたが、現在はこの手段も厳しくなりました。たとえ香港に口座を持っていても、香港の居住権がない場合は不許可、というケースが出始めたのです。ですので、送金の問題が足枷となり、新規で日本の『経営・管理』を取得しようとする中国人は確実に減っています」(同前)。
感情的な厳格化は国益にかなうのか
同行政書士によると、民泊や貿易などの事業をやるという名目で、日本の「経営・管理」を取得した富裕層の中には、今後も更新が難しいのなら、いっそのこと、日本から引き揚げるという人も増え始めているという。裏技を使って日本に居続けるという場合もあるが、多くの人は「日本がダメなら、別に他国へ行けばいい」と考え、日本で購入した不動産を売却する動きも出ているそうだ。
日本にしか居場所がなく、子どもも日本語しかできず、まじめにコツコツ働いてきた人々が厳格化の影響で切り捨てられようとしている一方、不正を働いた人々は日本を荒らすだけで、のうのうと生き残る――。
在日外国人に対する風当たりが厳しい「世論」の中、実態を十分にふまえない「感情論的な厳格化」が本当に国益に適うのか。しっかり議論していく必要があるのではないだろうか。

