「第3世代」でスニーカーは流行→定番へ

今なおスニーカー通勤のメインストリームは「第2世代」ですが、ここ数年、変化の兆しがあるのです。ニューバランスと「JUNYA WATANABE MAN(ジュンヤ・ワタナベ・マン)」のデザイナーズコラボから火がついた「スニーカーローファー」をご存じでしょうか。

スニーカーのソールにローファーを合わせたシューズ「スニーカーローファー」が、ナイキやコンバースなどのスポーツブランドのみならず、セレクトショップでも完売が続出しているのです。この春、ワークマンから3300円で販売されたことをきっかけとして、「スニーカーローファー」は流行というより定番化しつつあります。

一見するとビジネス向きですが、じつは「第2世代」とは決定的な違いがあります。それは、ベースとなる木型が「スニーカー特有の丸みとボリュームを持ったもの」であるという点です。つまり、ビジネススニーカーとして似合うパンツが「第2世代」とは異なるのです。

これまでのスラッとしたビジネススラックスではなく、気持ちゆとりのあるワンタック(ウエスト部分につまんで作られた「生地の折り目」が左右に1本ずつ入っているデザイン)のスラックスに合わせてみてください。いつもの「ピシッとした細身のスラックス」に、第3世代の「スニーカーローファー」では、シャープなパンツの裾から、ポテッとした丸いボリューム靴が顔を出すため、スラックスのドレス感に対して、靴のカジュアル感が完全に負けてしまいます。

「第3世代」の例
筆者撮影
「第3世代」の例。ワークマンのヒットで「スニーカーローファー」は定番化しつつある

結果として、歩きやすさだけを優先した「平成ビジネスマンの革靴見えウォーキングシューズ」のような状態に陥るのです。

最大のポイントは「全体最適の視点」

この「平成の手抜きビジネスマン化」を回避し、スニーカーローファーをスマートに履きこなすための処方箋は、靴単体のみならず、「合わせるパンツのシルエット」を調整することです。このワンタックへの移行は、単なるファッションの枠を超えた、現代のビジネスシーンに求められるマインドセットに通じると私は捉えています。

2000年代から2010年代にかけて、ビジネスファッションは無駄なフォルムを削ぎ落とした「ピシッとした細身(タイト)」が正解とされてきました。しかし働き方も多様化した令和の今、求められているのは、ガチガチのルールに縛られない「適度なゆとりを、だらしなくない方向で整える柔軟性」です。

「とりあえず黒いローファー型だから大丈夫だろう」と靴単体を見て、過去の成功体験でコーディネートすることは、コーディネートの本質を見誤るリスクがあります。「スニーカーローファー」という新しいツールの特性を理解し、それに合わせて自らのスラックスもアップデートすること。これは全体を調和させる「全体最適の視点」です。

ビジネススニーカーの理想的なコーディネート例
筆者撮影
ビジネススニーカーの理想的なコーディネート例

ビジネススニーカーは、色のみならず、パンツ丈やレザーの質感を意識すること。また同時にフォルムによって、スラックスの幅を変えることをお忘れなく。スニーカー通勤の本質を見分けることでのみ、履き心地と好印象を両立できますから。

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