なぜスニーカー通勤は「ダサい」のか

前述のように、2018年当時からビジネスシーンのスニーカーは、批判の対象となってきました。その背景には、そもそも「ジャケットやスーツと、スニーカーのルーツが、かけ離れている」という事情が関係しています。

これはビジネスファッションのみならずコーディネート全般に共通しますが、「ルーツが離れているほど、水と油のように合わせづらい」のです。当時は、通年ノーネクタイという人も少なかったため、なおさらスニーカーが悪目立ちする状況でした。しかも、「ビジネススニーカー」というカテゴリーも生まれていません。

当時の工夫といえば、各社に並ぶスポーツやカジュアルのなかでも「極力シンプルなスニーカーを合わせる」というもの。もしくは「パンツ丈の最適化」です。これは靴とパンツ丈の関係性を見直すことで、だらしなさを解消する作戦です。

「第1世代」は工夫のしようがなかった

そもそも革靴とスニーカーでは、ボリューム感が異なるため、「革靴でピッタリだったパンツ丈は、スニーカーに長すぎる」のです。この事実に気づかぬままでは、どんなにスニーカーが素敵であったとしても、余計なシワが足元に生まれ、だらしなく見えます。つまりは、「革靴とビジネススニーカーで、最適なパンツ丈を変える」という工夫です。

また、ファッション感度の高い人は、これらの工夫のみならず、レザー素材のスニーカーを選択していました。これは「素材を革靴に近づけることで、かけ離れていたルーツを近づける」という作戦です。

このように2018年からの「第1世代」のビジネススニーカーは、全身の組み合わせをスタイリッシュにする打ち手が限られていました。それから数年が経ち、コロナ禍を迎える2020年頃には、各社からビジネスシーンを想定した商品が発売され、いよいよビジネススニーカーの最適解が明らかになったのです。私はこの時代を「第2世代」と捉えています。

「第1世代」の例
筆者撮影
「第1世代」の例。当時は「ビジネススニーカー」のカテゴリーがなく、黒か白の極力シンプルなデザインを選ぶ人が多かった