「愛子天皇」実現する改正案があった

この報告書では今後、皇室に男子がお生まれになっても一夫一婦制で少子化という全体状況が変わらない限り「男系男子」限定は行き詰まることが、しっかり指摘されていた。にもかかわらず、秋篠宮家のご長男、悠仁親王殿下がお生まれになった(平成18年[2006年]9月)ことを理由として、皇室典範の改正の一歩手前まで行きながら見送られた。

その結果、次世代の皇位継承資格者がわずかお一方だけという、今の危機を招いている。

もしこの時の改正案が実現していたら、どうなったか。令和の皇室に「皇太子」が不在という、今のような変則的な状態には陥っていない。敬宮殿下が皇太子になられるはずだったからだ。

今は皇太子がいらっしゃらず、秋篠宮殿下はあくまで相対的・暫定的な“傍系の皇嗣”にとどまる。この事実は、“内閣の助言と承認”によって当事者のお気持ちに関係なく「立皇嗣の礼」という前代未聞のセレモニーが行われても、変化がない。

立憲民主党の長浜氏は記者たちに、この時に可決される予定だった「皇室典範の一部を改正する法律案」の要旨も、紹介した。

「将来にわたり皇位継承を安定的に維持するため皇位継承資格を有するものに皇統に属する皇族女子及びその子孫の皇族を含めると共に皇位継承順序について直系の長子を優先することとする他、皇族の範囲等について所要の改正を行う」

この法案では女性天皇、女系天皇を可能にするだけでない。皇位継承順序もはっきりと「直系の長子を優先する」としていた。まさに、将来に「愛子天皇」を実現するための改正案だった。

「愛子天皇」求める声を無視していいのか

1カ月後をメドに開かれる次の全体会議では、今回の会議で統一見解を述べることができなかった、中道改革連合の意見を聴くことになっている。その上でさっそく、今の特別国会の会期中の決着を狙って、衆参正副議長4人による議論の取りまとめに入るつもりのようだ。

つまり政党・会派から意見を聴くのは次回で打ち切って、熟議を尽くすことなく、「静謐な環境」との決まり文句を隠れ蓑として、自分らだけで政府のプランに沿った取りまとめ案を作る。その案ができたら、与党が圧倒的多数を占める国会状況の中で、数の力によって無理やり「立法府の総意」として押し切ろうとする魂胆が、透けて見える。

しかし、そのようなやり方は明らかに民意からかけ離れたものだ。他の議題なら、そのような乱暴なやり方が通用するかもしれない。だが、「国民の総意」に基づく「国民統合の象徴」であるべき天皇の地位に関わるテーマについては、そのような独善的な手法は厳しく控えなければならないはずだ。

上皇陛下のご退位を可能にした皇室典範特例法がほぼ全会一致で可決されたように、丁寧に議論を積み上げて、広く国民が納得できる結論を導く必要がある。その場合、「愛子天皇」を願う多くの国民の声に謙虚に耳を傾けることが、何より大事だ。

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