父親も“大切な存在”になれる
そう問われて、思い出すのが、週末だ。
土日のどちらかは、私はKが好きな電車に乗って2人で出かける。そのときは、確かに「ママがいい!」と口にしない。あの状況では、Kにとって父親が“大切な存在”なのかもしれない。
「だとしたら、信頼関係が成り立っているのではないですか。お母さんがいないときには、お父さんが一番なのだと思います。アタッチメントは、たった1人の人間と形成するものではありませんから」
先生にお墨付きをもらえたようで、自信が取り戻せた気がした。
遠藤先生が指摘する“アタッチメント”とは、子どもが怖くて不安なときや、感情が崩れたときに特定の大人にくっついて「もう大丈夫だ」という安心感に浸ることだ。乳幼児期のアタッチメントの形成が、心身の成長に大きな影響を与えるという。
アタッチメントのアタッチの意味は「くっつく」。アタッチメントを理解するうえでポイントとなるのが、特定の相手との間で形成されること。遠藤先生は解説する。
「子どもは不安なときに信頼する大人にくっつきたい。けれど、そこには子どもなりの優先順位があり、お母さんにくっつきたがるお子さんが多いのは事実です。ただし、乳幼児期ではお母さんが一番かもしれませんが、成長して運動などに関心を持ちはじめると一緒に動いてくれるお父さんに関心が移るというケースもよくあります」
重要なのは一貫性
「育児で大切なのは“いまここ”という短期的な視点だけではなく、長期的な視座に立っていただくと気持ちが少し楽になるのかもしれませんね」(遠藤先生)
重かった私の気持ちが少し軽くなった。
いや、待て――。
このままKの成長を待っていては、軽くなった私の気持ちに反比例して、妻の負担が増え続けるのではないか。最悪、妻に見限られてしまうかもしれない。現実として、どう折り合いをつければいいのか。新たに芽生えた悩みを遠藤先生に再びぶつけた。
「3歳くらいになると大人の事情を分かりはじめています。まずは『お母さんが忙しいから今日はパパがやるよ』ときちんと言葉にして伝えてみる。育児がうまく行かない原因のひとつが、ブレること。今日はやってもらえたのに、別の日は、まったくかまってもらえない。そんな状況が続くと子どもは不信感を持ってしまいます。そうならないためには、育児に一貫性を持たせることが重要になるんです」
育児の一貫性とは具体的になんだろうか。

