試されているのは私の方だった

“親御さんの気分”という言葉に罪悪感を覚えた。

まさに遠藤先生にインタビューした日の朝のこと。朝食や着替えを済ませていよいよ登園という段になり、Kが「保育園に行きたくない」とグズりはじめた。手を変え品を変え、なだめすかしても「行きたくない」と駄々をこねる。やがて登園時刻が過ぎてしまった。

「これ以上、遅くなると、みんなとお散歩行けなくなっちゃうよ」と強めの口調で急かした。そんな言い方をしなくても、と妻がとがめるような目でこちらを見る。

妻の危惧通りKは泣き出して、あの口癖を叫ぶ。

「ママがいい!」

……ここまで書いて、既視感に襲われた。

本連載で似たような体験を記した記憶がよみがえったのだ。保育園に通うようになり、3年。私は何度同じ過ちを繰り返しただろう。

結局、妻が保育園に連れて行くハメになり、やはり出勤が遅れてしまった。

遠藤利彦『安心感が子どもの心を育む』(小学館)
遠藤利彦『安心感が子どもの心を育む』(小学館)

今朝の顛末を伝えると遠藤先生は言う。

「『これ以上、遅くなると、みんなとお散歩行けなくなっちゃうよ』という説明は悪くなかったと思います。まさにこれからの見通しを確認したわけですから。ただここで考えなければならないのは、親御さんの苛立ちがお子さんに伝わってしまったのではないか、ということ。それこそが、先ほど話したお子さんが、親御さんの気分に翻弄される状況です。

もちろん人間ですからイライラもしますし、感情的になってしまうこともあるでしょう。大前提として、子育てはうまくいきません。大切なのは、失敗したあとに『ちょっとまずかったな』『言い過ぎたな』と反省し、関係性を修復できるかどうかなのです」

やはり、試されているのは私の方らしい。

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