子供が病気になったとき、うまく薬を飲んでもらうにはどうすればいいのか。玉川大学教育学部の大豆生田啓友教授は「私自身も子育て中に薬を飲ませることには苦労した。だが、嫌がる原因は味以外にあるかもしれない。まずは率直に尋ねてみてほしいことがある」という。自身も3歳の息子を育てる、ノンフィクションライターの山川徹さんが聞いた――。
Eテレでおなじみ、玉川大学教育学部の大豆生田啓友教授
撮影=プレジデントオンライン編集部
Eテレでおなじみ、玉川大学教育学部の大豆生田啓友教授

“薬を飲みたくない”3歳の息子

3歳児Kは、薬が苦手だ。

10月半ば、Kは久しぶりに風邪を引いた。熱は上がらなかったが、激しい咳が出て、鼻水も止まらない。自宅では、さほどでもなかったが、保育園で症状が悪化したらしい。保育園からの連絡で、私は早めに迎えに行き、かかりつけの小児科に連れて行った。診断は、ただの風邪。一安心した私は、薬局で咳と鼻水を止める粉薬を受けとった。

問題は、ここからだ。Kは、薬を飲むのを極端に嫌がる。粉薬の代わりに飲み薬を処方してもらったこともある。しかし甘い味が気に食わないのか、吐き出してしまった。

「粉薬はゼリーやヨーグルトに混ぜるといいですよ」

薬剤師のアドバイスを試してみたが、粉薬に気がつくと決して口にしようとしない。子供用の服用ゼリーもダメだった。

右手には水の入ったコップ、左手で錠剤に触っている男の子
写真=iStock.com/jxfzsy
※写真はイメージです

今回は、毎朝飲む牛乳に溶かしてみることにした。しかし――。

「なんか違う! いつものヤツ!」

一瞬でバレた。

「K、ごめん。ママ、マグを洗うのを忘れたんだ。だから味が違うのかも」

母の苦し紛れの言い訳に、Kは渋々といった様子で少しだけ牛乳を飲んだ。が、次から薬入り牛乳には一切口をつけなくなった。Kはこだわりが強い。味の違いが分かる3歳児なのだ。

「嫌」なのは“味”が原因とは限らない

困った。食べ物の好き嫌いなら仕方がないと割り切れるが、薬である。なんとか飲んでもらって風邪を治し、保育園に通園してもらわなくては。

1年ほど前までは、私と妻が2人でKを羽交い締めして、ぬるま湯に溶かした粉薬を強引に飲ませていた。それで飲んでくれればまだいいのだが、半分以上は吐き出してしまう。

だが、Kは3歳児である。信頼しているであろう両親に嫌いな薬を無理やり飲ませられるのだ。トラウマにならないだろうか。いま以上に薬嫌いになってしまうかもしれない。もっとうまく薬を飲ませる方法はないだろうか。

玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授の大豆生田啓友先生に尋ねた。

「まず第一に思い付くのが、医師に相談して、別の形状や異なる味の薬を処方してもらうこと。それでもダメなら食べ物に混ぜてみる。ぼくの子どもも、こだわりが強かったから薬でも本当に苦労したんですよ。カレーやスープに混ぜたり、オブラートに包んだり、少しずつ分けて飲ませたりといろいろと試しました。

その子が薬の何をいやがっているのかが分かれば対策を立てやすくなります。薬の味なのか、臭いなのか、食感なのか、タイミングなのか、シチュエーションなのか……。薬に限らず、その子が、何が好きで何が嫌いなのかに視野を広げて考えて見るといいかもしれません」