「偶発」を「必然」に引き寄せる戦略

しかし、想定外のメガヒットにも、彼らは浮足立ってはいなかった。Ayaseはこう野心を語っている。

柴那典『ヒットの復権』(中公新書ラクレ)
柴那典『ヒットの復権』(中公新書ラクレ)

「もちろん、去年以上に飛躍して駆け上がっていくぞという気持ちはあります。20年は『夜に駆ける』に手を引っ張ってもらった年だったと思うので、紅白に出たと言っても、今はまだ僕らのことまでは知ってもらえていない。僕らがどういう考えを持ってYOASOBIをやっているかも含めて、Ayaseもikuraも、そしてYOASOBIというこのユニットのことも、もっと知ってほしい。そのためにどう見せていくかということを今は考えています」

2021年1月、YOASOBIは初のCD『THE BOOK』と同時にテレビアニメ『BEASTARS』第2期オープニングテーマ「怪物」をリリースしている。ダークで荒々しいベースラインが唸る「怪物」は彼らのさらなる飛躍のきっかけになった。

「アルゴリズムの女神の微笑み」がもたらした最初のバイラルヒットの“種火”をどのように燃え広がらせるか。メディアをどう巻き込むか。そして1曲のバズ(=話題性)をどのようにしてアーティストとしてのオーセンティシティ(=信頼性)につなげていくか。YOASOBIの辿った道からは「偶発」を「必然」に引き寄せるための戦略を読み解くことができる。

【関連記事】
なぜ「アニメ主題歌」がヒットチャートを席巻するのか…2020年代の音楽シーンを決定づけた「10年前の人気映画」
「子供を自分の作品」にしてはいけない…日本一の進学校教諭が見た「本当に頭のいい子の親」の意外な特徴
踊るために「子どもが欲しい」とせがむ夫と離婚した…フラメンコに人生を捧げた「94歳の現役ダンサー」の来歴
「秀吉と一緒になるのがイヤ」ではない…お市の方が柴田勝家との自害を選んだ"現代人には理解できない"理由
「年末年始は海外旅行」が30%増…エルメスでもディオールでもない、富裕層が空港の待ち時間でお金を落とす"場所"