メディアミックス展開も功を奏した
原作小説のメディアミックス展開も功を奏した。アニメーションのMVを一つの核にしつつ、様々な切り口で楽曲を楽しめる立体的な導線を整備した。
「サブスクにおけるヒットって、チャートに長く居続けることにほかならないと思うんですね。そのために、YOASOBIには原作小説と行き来するという唯一無二の武器がある。だから、新曲を出しながら、過去の原作を広げていくという作業をやっていきました」(屋代)
9月には原作小説集として『夜に駆けるYOASOBI小説集』が刊行された。書店にYOASOBIの名が並び、タッチポイントはリアルな場にも広がった。
「双葉社さんとご一緒して、初版の部数もかなり刷っていただいて、書店で大きな展開をすることができた。原作小説が別の媒体で世に出ていくという立体的な作り方ができたのも大きかったと思います」(屋代)
そして2020年12月31日、YOASOBIは紅白歌合戦に初出場を果たした。舞台は角川武蔵野ミュージアム・本棚劇場。無数の書物に囲まれた幻想的な空間から、彼らは「夜に駆ける」をテレビで初めてパフォーマンスした。
激動の1年間
明けて2021年1月。その数日後に取材で会ったAyaseとikuraはその体験をこう語っていた。(『AERA』2021年2月8日号掲載)
「めちゃくちゃ緊張していたので、終わった瞬間は安堵で膝から崩れ落ちました。今はホッとしている感じです」(Ayase)
「プレッシャーで泣きそうになっていたんですけれど、本番が始まる直前になぜかスッと冷静になれた。ゾーンに入ったような感覚があって、みなさんのおかげで無敵な状態で歌えました」(ikura)
人生が大きく変わった2020年について、二人は「怒濤の1年だったというのが素直な思いです」(Ayase)、「いろんなことが180度変わりました。激動だったんですけれど、初めてのことばかりでその一つ一つに食らいついていかなければいけなかった。毎日新しい出来事に一生懸命向き合ってきた。そういう1年だったと思います」(ikura)と振り返っている。

