発達障害を受け入れにくい地域の特徴
このように、住んでいる地域や文化、家族の価値観によっては、子どもがADHDや自閉スペクトラム症であることを受け入れたくない、周囲に知られたくないというケースが今でも見られます。
ここからは、あくまで私個人の印象です。全く統計的根拠があるわけではありませんが、特に以下のような家庭でこの傾向が強いように感じます。
1 田舎や地域社会のつながりが強い集落文化の中で暮らしている
2 社会的ステータスを重視し、他者からの評価を常に強く気にする
このような文化の中にいる家庭の中には、「発達障害」というラベルを貼られることに対する強い不安やマイナスの感情が残っていることもゼロではありません。
ここからはややセンシティブな内容になるのですが、みなさんは「ダウン症候群」をご存じでしょうか。これは遺伝子の染色体異常によって生じるものです。最近では胎児の段階でわかる機会も増えてきており、生後その診断が変わることはありません。
ダウン症の方は、身体のさまざまな臓器に多かれ少なかれ変化が見られることに加えて、多くの場合、知的発達症、発達の遅れといった神経発達の特性も併せ持ちます。
未だにある「ダウン症を受け入れ難い地域」
ここで紹介するのは、ユダヤ教の超正統派(Ultra-Orthodox)と呼ばれる人々の中でのコミュニティについてです。イスラエルやニューヨークの一部の地域に今も住んでおり、生活のあらゆる面をユダヤ教の教えに基づいて行っており、結婚や職業なども厳格に決められていることがあります。
このコミュニティの中には、ダウン症を受け入れることが難しい家庭が存在します。新生児室で自分の子どもの顔を見た瞬間に(ダウン症候群の子は顔貌が特徴的で、診断がなくとも顔を見ればわかることが多い)、家族が関わることをやめてしまう、すぐに孤児施設へ預ける、家族以外には一切知らせず、家庭内に閉じ込めて育てる、といった事例が、今でも実際に起きています。
このように、社会全体では発達障害や神経発達症に対する理解が進んできてはいるものの、文化や価値観の違いによって、偏見やレッテル貼りは依然として根強く残っているのも現状です。だからこそ、正しい知識と理解をさらに広めていくことは、今もこれからも非常に重要な課題なのです。



