「現金の余裕のなさ」が招いた「最悪の選択」

「最大の原因は、手元に『現金の余裕』がなかったことです。退職金がまとまって入ってくる前提で日々の生活費やローン返済を計画していたため、待つ選択ができなかった。手元資金がないと人間は冷静な判断力を失い、狼狽したまま目減りした退職金を受け取って想定外の資金不足に陥るのです」

預貯金が不足していると精神的な余裕が完全に失われる。「相場はいずれ回復する」と頭ではわかっていても、当座の生活費がなければ待つことはできない。

十分な蓄えがあれば受け取り時期をずらせたはずが、結果的に60代でふたたびパートや再雇用で労働市場に出ざるを得なくなってしまうのだ。