人生の秋・冬はプレイヤーとして衰える

人的資本が育たなければ社会資本も育たないため、その後に開業しても長くは続かないでしょう。10代・20代では、他の年代に比べて時間だけは十分にあります。

スポンジのように全てを吸収出来る時期にあり余る時間をかけ、人的資本を磨くべきです。30代・40代になると家族も出来て、人的資本を磨くための時間の確保が難しくなります。

私達が人生の戦略を考えるうえで知っておくべきことが、もう1つあります。それは、人間の知能には「流動性知能」と「結晶性知能」の2つがあることです。

流動性知能とは、新しい環境や問題に柔軟に対応する能力で、発想力なども含まれます。この流動性知能は10代後半から20代前半がピーク(図表1)で、30代以降は徐々に低下していくと考えられています。GAFAMの創業者の多くは、まさに流動性知能がピークだった時期に起業しています。

【図表1】流動性知能
出典=『脱・院長の教科書』

一方の結晶性知能は、学んできた知識や経験をもとに物事を理解し、判断する能力です。結晶性知能は流動性知能と異なり、年齢とともに蓄積されると考えられています(図表2)。

【図表2】結晶性知能
出典=『脱・院長の教科書』

私達は、人生の春に流動性知能をフルに活かして人的資本を鍛えることで、人生の夏に社会資本や金融資本が備わってきます。人生の秋・冬になると、体力の衰えとともにプレイヤーとしての能力が低下することは避けられません。

50代・60代以降も活躍するために

その反面、結晶性知能はどんどん高まっていきます。そこで、診療時間を減らし、社会資本や蓄積された知識・経験を活かして経営者として医院の経営や後進の育成にシフトしていくことが出来ます。

多保学『脱・院長の教科書』(クインテッセンス出版)
多保学『脱・院長の教科書』(クインテッセンス出版)

そうすれば、より体力のある自分より若い世代のスタッフ達に診療をカバーしてもらうことも可能になります。体力が衰える50代・60代以降でも、それまでの蓄積である結晶性知能を活かして、経営者として十分活躍出来るのです。

私は若いスタッフ達に対して、人生戦略を考えるうえで大切な春夏秋冬の概念と3つの資本、そして2つの知能について必ず伝えるようにしています。

目先の高収入に惑わされず、長期的な視点で人生設計を考え、真の医療従事者として患者さんに貢献出来る人材になって欲しいからです。

あなたも、これを機に、自分自身の人生戦略を見直してみてはいかがでしょうか?

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