目の前の仕事に集中する

では、どうすれば天職に出合えるでしょうか。

ただ漠然と天職に出合うことを願い、のんべんだらりと過ごしていても、そんな幸運は訪れません。

一番大事なのは、いま目の前にある仕事に集中すること。たとえ不本意であっても、縁あって入社し、配属された部署なのですから、そこで全力を尽くさなくては次のステップに進めません。

なぜなら、一つの仕事に懸命に取り組まないと、自分の目に映る“仕事風景”が変わってこないからです。

どんなふうに風景が変わるかというと、たとえば――、やってみたら「意外とおもしろい」とか、「能力的に自分に向いている」といったことに気づき、いまの仕事を深掘りしたくなるかもしれません。

オフィスで働くビジネスウーマン
写真=iStock.com/metamorworks
※写真はイメージです

やっている途中で新しいことに興味を覚えて、方向性を変えるきっかけをつかむ可能性があります。

仕事で知り合った人に刺激され、新しい挑戦欲が芽生える場合もあります。

「能力的にも、やっていておもしろいかどうかの部分でも、自分に合わない」ことがはっきりとわかり、改めて別の道に転じる決意が固まることもあります。

すべて、「やってみなければわからない」こと。でもやってみれば視野が広がり、いろんな風景が見えてくる。その先に、天職との出合いがあるのです。

何度“心変わり”をしてもいい

望まない仕事についたからといって、文句ばかりいっていたり、やる気をなくして仕事と真剣に向き合わなかったりしていると、天職と出合うことはできません。中途半端に、天職ならぬ転職を繰り返すだけに終わるでしょう。

書影
増田将之『その悩み、ただの執着』(三笠書房)

そういう意味のない転職・転身でないならば、天職と確信できる仕事に出合うまで、何度“心変わり”をしてもいいでしょう。遅かれ早かれ、心の決まる仕事に出合います。

心が揺れて、揺れて、揺れながらも、どこかで落ち着く、そのときが天職との出合いです。あとは周りが何といおうと、自分の決めた道を一直線に進んでいくのみです。

私自身は高校を出てすぐ、比較的早い年齢で「お坊さんになる」と決めることができました。けれども弟は、けっこうな年数、揺れていました。大学でがんばって教員の勉強をしていたのに、卒業すると「芸人になりたい」といって芸人の養成所に入学。

アルバイトをしながら“芸人修業”を積みました。残念ながら、十年ほどで夢を断念し、結婚を機にパン屋さんに転身しました。