社員の持つスキルが「見えない」日本企業
翻って、あなたの会社はどうでしょうか。
社員一人ひとりが、どのようなスキルを持っているのか、正確に把握できていますか? 経営戦略や市場の変化に応じて、サッカーチームのようにダイナミックに人材を再配置できていますか?
「あの人は営業部だから」「この仕事は企画部の役割だから」といった、部署や役職の壁(サイロ)に阻まれて、個人のスキルを活かしきれていないということはないでしょうか。
多くの企業では、社員の持つスキルが「見えない」状態になってしまっています。これでは、変化に対応できる強い組織を作ることはできません。
「スキルベース組織」は、まさにプロサッカーチームのような目的志向で柔軟性の高い人材マネジメントを、企業経営で実現するためのアプローチです。
組織を正のスパイラルへ導く
たとえば、「経理部長」という職務(ジョブ)は、会社や市場環境によってその役割が頻繁に変化します。しかし、その職務を構成する「財務諸表を分析するスキル」や「チームをマネジメントするスキル」「内部統制を構築するスキル」といった要素は、ほかの職務でも通用する、普遍的で持ち運び可能な(ポータブルな)能力です。
職務の内容が変化しても、それを構成する根源的なスキルは変わりません。
この「スキル」という新たな軸を取り入れることで、私たちはメンバーシップ型とジョブ型という両制度の不具合を解消し、それぞれの「良いところ」を活かすことができます。
社員一人ひとりが持つスキルを可視化し、今必要なスキルと将来必要になるスキルとのギャップを明確にする。そして、そのギャップを埋めるための育成機会を提供し、習得したスキルに基づいて適材適所に配置し、公正に評価する。
社員は自律的にキャリアを築き、成長を実感できるようになる。若手もベテランも関係なく、持つスキルに応じて活躍の場が与えられ、評価される。エンゲージメントは高まり、優秀な人材の定着にも繫がる。
企業にとっても、社内にどのようなスキルがどれだけあるのか(人材ポートフォリオ)を正確に把握できるため、変化に応じた柔軟な組織再編や、戦略的な人材配置が可能になる――。
「スキルベース組織」は、行き詰まった人事制度を打破し、社員も会社も成長する“正のスパイラル”へと導くための具体的なしくみなのです。

