イギリス人の上司に指摘されてハッとしたこと

子どもの頃ならともかく、いい大人になって、自分の未来を語ることに「照れ臭さ」を覚える人もいるはずです。

どんな理由があっても、チームや部下の成長を促すためには、ダイアログは不可欠と考える必要があります。

僕がまだ30代の若手社員だった頃のエピソードを紹介します。

その当時、僕はモルガン・スタンレーで組織開発の仕事を担当していました。

30歳を超えたばかりですから、まだ尖っていて、頑固でプライドが高く、上司にとっては扱いづらい部下だったと思います。

僕の直属の上司は、ドーンさんというイギリス人の女性でした。

圧倒的に仕事のできる厳しい人でしたが、2人の小さなお子さんを育てるソフトな語り口の優しい上司でもありました。

彼女は時間が空くと僕に話しかけてきて、2人であれこれと雑談をしました。

部下である僕のことを、本気で理解しようとしてくれていたのだと思います。

議論をリードするビジネスウーマン
写真=iStock.com/.shock
※写真はイメージです

ある時、「あなたは何が欲しいのかわからない」という話になって、彼女にこんな言葉を投げかけられました。

「If you want something, ask for it」

日本語に訳すと、「何か欲しいものがあるならば、自分から求めなさい」 という意味になります。

その頃の僕は、「自分がどうなりたいのか?」を上司に率直に伝えることはなく、自分の考え方や価値観について話し合うこともありませんでした。

もしかすると、僕が社会主義や共産主義を経験したポーランドで生まれ育ったことも、少なからず関係しているかもしれません。

部下は自ら手を上げることが求められる

人に全幅の信頼を寄せるという経験をあまりしてこなかったため、上司である彼女の目には、「ピョートルは自己開示が足りない」と映っていたのだと思います。

欧米企業や外資系企業では、上司から仕事が降りてくるのを待つのではなく、部下は自ら手を上げて、自分がやりたいと思う仕事に積極的に取り組むスタイルが求められます。

そのためには、「自分はどんな仕事をしたいのか?」、「どうなりたいのか?」、「自分のキャリアをどう積み重ねたいのか?」など、部下は自分の意思を鮮明に言語化して、上司にハッキリと伝える必要があります。

部下が自分から上司に意思を伝えなければ、上司は部下のキャリアアップに適したタスクを指示したり、それをサポートすることができません。

部下の思いを知らないままで仕事を続けたのでは、上司は自分の考えを一方的に部下に押し付けてしまうことになるのです。

モルガン・スタンレーに在籍した当時の自分を振り返ってみると、初めてグローバル企業で働くことで、日常的に緊張を強いられて、気持ちが萎縮していたのかもしれません。

驚くほど有能な人たちに囲まれて仕事をすることに、コンプレックスや気後れを感じていたのかもしれません。

上司のアドバイスを耳にして、「そうだったのか!?」と一気に視界が広がりました。

不安を隠して虚勢を張り続けていた僕の胸に、上司の言葉がストレートに突き刺さったのです。