夢のタワマン生活と厳しい住み心地の現実
富裕層のなかでも、開業医や自営業者、IT関連や不動産関係者などが多く、立地などにもよるが、購入目的は、セカンドハウスや投資用と自宅用が半々のイメージだったりする。もっとも、全国に広がる全てのタワマンが1億円以上の価格で、富裕層が所有を独占しているワケではない。
豪華さや値段の高さが話題になりがちだが、実際のタワマン物件は価格も設備も様々だ。総戸数が多く賃貸物件もあるため、中古市場でも多くの物件が売買されている。ペントハウスなどを除けば、首都圏近郊や地方の物件に加え、都心部や湾岸部の中古物件などでは、1億円未満の物件も数多く存在している。
こうしたタワマン物件では、本書で想定するような富裕層ではなく、大企業や外資系企業のサラリーマン層や、世帯年収1500万円以上のパワーカップルや共働き世帯、土地持ち貯蓄持ちのシニア層なども多い。
なお、国土交通省の調査によると、2025年1〜6月に東京都内のタワマンを含む新築マンションを取得した人のうち、海外に住所がある人の割合は3.0%、大阪府では2.6%、京都府は2.3%だったという。
豪華できらびやかなイメージのタワマンにもデメリットはある。例えば、建物全体の荷重負担の軽減のため、軽い素材を利用するため、隣接する部屋からの生活音や話し声に加え、強風時の「風切り音」、駅直結マンションでは電車の音による騒音なども問題になる。
駅近なのに玄関から徒歩15分の謎
ドラマの題材やSNSの論争のタネにも度々上がる、タワマン高層階の住民が低層階の住民を見下すマウンティングや、管理組合のゴタゴタがある場合もあり、それなりの人付き合いは免れない。
細かい話かもしれないが、タワマンの場合、朝の出勤時などにエレベーターがなかなか来ずに行列ができて渋滞する、一旦エレベーターを乗り換える必要がある、更に、地下の駐車場まで行かないといけないなど、自分の部屋から外に出るまで、それこそ10分以上時間がかかったりする。駅至近なのに、実質徒歩15分だったりするのだ。これが毎日のことだと相当のストレスだ。
更に深刻なのは、地震や台風などで電力供給が途絶えることで、エレベーターやトイレなどが使えなくなり、ライフラインが止まってしまうリスクだ。2019年10月の台風による浸水で、川崎市・武蔵小杉のあるタワーマンションでは、電気も水道もエレベーターも使えなくなり、全て元に戻るまでに1カ月近くかかった。
タワマンは、高級住宅地の土地付き戸建てを代々受け継ぎ暮らすのとは違い、最終的な「出口戦略」が不透明だという根本的な問題もある。タワマンだけでなく、我が国のマンション全体にいえることであるが、これから何十年後か十数年後かに経年劣化が進んだ際に、最終的に建て替えるのか、取り壊すのかの選択を迫られることになる。

