JPYCの普及が難しい理由
【アワタニ】PayPayが自前で口座振替をしているのか。
【松田さん】それを打破できるのが電子決済手段(*2)という法的な分野で、こちらはユーザー間で自由に送っていい。各種規制を整備していったことで、ステーブルコインは電子決済手段と定義されるようになりました。こうして日本が世界に先駆けて、法に準拠したステーブルコインをつくったとしてJPYCは注目されたんです。
【アワタニ】世界初だったんですね。
【松田さん】ただJPYCは、現段階では難しいものでして。なんでかって言うと、用途がはっきりしないからです。賞賛する人たちは、遠隔地での決済に使えるのが暗号資産の最大のメリットという基本を、うまく理解できていないのでしょう。
【アワタニ】あら、便利じゃないんですか……。
【松田さん】「JPYCで支払えるクレジットカードができました」と聞くと「ほうほう、進んでる」って感じがしますよね。でも、ちょっと待ってくれと。そもそもクレジットカード払いは日本円で銀行引き落としができて、利用者は手数料を払いません。JPYCに両替するとしたら、わざわざ毎回手数料を払わなくちゃいけないんですよ。そんな奴おるんかい、となります。
海外ではJPYCの価値は高い
【アワタニ】ひと手間かかって価格が目減りするデジタル日本円、って言われるとつらいですね。
【松田さん】「ステーブルコインをつくりたい」が最初にあって、ユーザーが何に使うかはあとで考える。だから、おかしな話になるんです。基本に立ち返ればすごく簡単で、まずニーズがあり、それに応えるためにサービスがある。
【アワタニ】ニーズっていうのは例の遠隔地での決済、ですか。
【松田さん】そう、円を自由に入手・送金できない人には切実なニーズがあります。つまりJPYCをバンコクに送ってバンコクでタイバーツに両替とか、台湾の人が日本のECサイトで買うのにJPYCが使えるとかは便利です。国内については、いまの電子マネーがあれば十分でしょう。
【アワタニ】日本人にはメリットがないんですか。
*2 電子決済手段
デジタル形式の決済手段。世界に先駆けてステーブルコインを法律上で定義するために、2023年の資金決済法改正で新設された。
