「同じ業界なら通じる」は大きな勘違い
「SCM」「PSI」「SKU」はメーカー(製造業)の頻出用語なのですが、恐らく、製造業に関わった経験がまったくない人から見ると、いずれも馴染みのない言葉だと思います。
こういった特定の人にしかわからない言葉を使うのは、転職活動の書類作成時にはできるだけ避けるべきです。できる限り、高校生・大学生でもわかるレベルの語彙で書くのが重要です。
書類選考や面接で自己PRをするにしても、「相手にわかる言葉」で伝えないと、すごい経歴を持っていてもうまく伝わらず、評価してもらえません。このとき、「同じ業界の中の転職なら、相手もわかるから専門用語でも問題ないだろう」と考える人もいるかもしれませんが、それは間違いです。
書類選考を担当する人事部採用担当者は、現場の経験がないかもしれません。
もしかしたら、人事部長は、ごく最近、他の業界から転職してきた人かもしれません。これは、相手への思いやりです。
たとえば、面接の場で、業務の内容などについて詳しい話をするときに、面接官も同じ業界で長く働いてきた人だと確証がある前提で、業界用語を出すのは問題ないでしょう。
しかし、書類選考の場合は、誰が読むかは事前にはわかりません。
自分の上司になる人、チームメンバーだけではなく、人事部の採用担当者や、転職エージェントも読む書類です。わざわざ業界用語を使って難しく書く必要性はまったくありません。
応募書類は「ラブレター」
もちろん、自分が普段仕事で使っている言葉で書く方が楽なのはわかるのですが、ここは面倒でも、「読む人への思いやり」を持つのが大切です。
たとえば、前述の「PSI」という言葉、製造業で使われる「生産・販売・在庫の数量計画」という意味の単語で、私が新卒で入った会社では「PSI」と言えば誰もがわかる、共通の用語でした。
一方、実は同じ製造業でも他の会社では「生販在」「生販」「荷繰り」「DP(デマンド・プランニング)」など、異なる言い方を社内でしているケースが多々あるということを後で知りました。同じ業界だからといって、専門用語や業界用語がすべて通じるとは限りません。
怖いのは、こういう「実は自分の会社の中でしか使われていない言葉」に、会社の中にいると気が付かず、当然、どこでも共通の用語だろうと当たり前のように使ってしまうことです。
私も、転職する前は「PSI」と言えばどこでも通じるものだと信じ切っていましたが、現実は違いました。やはり、特定の集団の中で学んだ言葉というのは、極力使わないのが原則だと思います。
ちなみに、例1冒頭に出てきた「DML事業部」を、例2では「DML事業部(半導体製造・販売部門)」と言い換えたのも、読み手への思いやりです。
転職活動の応募書類は、誰が読んでもわかりやすいように書くことを常に心がけるのが重要です。転職活動において、「書類選考の応募書類」とは、好きな人に宛てて書く「ラブレター」のようなものです。


