※本稿は、原哲也『子どものことばが育つコツ120』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
「ママがやってるのを、よーく見てね」
ことばの獲得には、大人が発することばが何を意味するのかを、視線や表情、状況などを手がかりにして読みとる能力が大切です。その土台をつくるのが「模倣」です。
「動作模倣(動きをまねすること)」と「ことばの獲得」には強い関連があります。
こんな実験があります。35人の自閉症スペクトラム障害の2歳児を追跡調査したところ、運動模倣(全身運動のまね)の力がある子どもは、4歳になったときの「言語能力」が高かったといいます。
「動作模倣」の経験は、ことばの獲得にとって大事なのです。ですから子どもに、大人の動きをどんどんまねしてもらいましょう。
この点、「お手伝い」は、子どもに「動作模倣」の経験を積ませるよいチャンスです。
お手伝いをしてもらうと時間がかかるし、ゴミを散らかしたり、周りのものを倒したり、かえって面倒かもしれません。「触らないで!」「やらなくていいよ」「じゃましないで」などと言いたくなるのもわかります。
しかし、ここは動作模倣の絶好の機会だと思って、「ママがやってるのを、よーく見てね」と玄関掃きに注目させ、やり方をじっくり観察してもらいましょう。
つたないながらもお手伝いをしてくれたら、「ありがとう」と言うといいですね。
子どもが「行きたい&やりたい」時がチャンス
「あれ買って〜」「もう歩くのイヤ〜」……子どもと一緒の買い物、大変ですよね。
さっと買い物をすませたいのはわかります。しかし何であれ、子どもが「行きたい!」「やりたい!」と言うときは、ことばを覚える絶好の機会です。
買い物で「必要なもの」を一緒に確認して書きだすと、「しょうゆ」「ティッシュ」「シャンプー」などの生活必需品に関することばを覚えられます。
スーパーに行けば、長野県産トウモロコシや、山形県産だだちゃ豆が並び、精肉コーナーではカナダ産豚ロース肉が売られ、「熱帯フルーツフェア」のスターフルーツの五角形の断面に、子どもの目は釘づけになるでしょう。
県名、国名、肉の部位、気候、形……。能動性が全開状態の子どもは、そこで出会う、興味のあるものに関することばをぐんぐん吸収します。ぜひ、目にするさまざまなものについて話してあげてください。
ただ、いろいろ話しかけて、子どもがうるさがるなら逆効果です。あくまでも、「子どもが興味のあること」を話すことが大事です。
買い物に限りません。「○○したい!」と言ったときこそ、チャンスなのです。「能動的であるとき、ことばを覚える」ことを、頭の隅に置いていただければと思います。


