感謝される喜びと誇りを感じる
ママが「卵を割る」様子を、子どもがじっと観察しています。「お手伝いしたい!」と言うと、ママは卵をきれいに割るやり方を教えてくれました。
子どもはママの注意をしっかり守って「コンコン」「パカッ」。きれいに卵を割ることができました。「ありがとう!」ママはにっこりしました。
このやりとりの中で、子どもは母親とのつながり、愛情を感じ、「ありがとう」と感謝される喜びと誇りを感じます。「お手伝いをして喜んでもらった」という経験を積むと、子どもの中に「自分はできる人間だ」という自尊心が育ちます。
そして、家族に感謝してもらうこの「喜び」をもっと感じたいと、お手伝いできることを探して、能動的に考え、動くようになります。
子どもは、「ぼくは上手に卵を割れるから、卵を割るお手伝いができる」と思い、台所のママを観察して、卵を使う料理を知ろうとするかもしれません。「今夜はコロッケよ」と聞いたら「ぼくが卵を割るよ」と言うようになるかもしれません。それが「能動的」に考え、生活する、ということです。
思考は、常に「ことば」を使ってなされます。ことばを使って能動的に思考することをくり返すことで、ことばの力がつき、思考力も鍛えられていくのです。
「灰汁」「乱切り」「炒める」「沸騰」
前述のように、「お手伝い」の場面では、子どもは親とのつながりや愛情を感じ、そして能動的になります。安心し、リラックスして、しかも能動的であるこの状況で耳にしたことばを、子どもは自然に身につけます。
同じことをくり返す家事では、何度も同じことばを聞くことになりますし、聞き逃しても、すぐに同じことばを聞く機会があります。
加えて、目の前で動作を見ながらことばを聞きます。その意味でもお手伝いの中で聞くことばは、覚えやすいのです。
また、お手伝いの場面では、実にいろいろなことばが使われます。カレーなら「1個」「2本」「豚こま200g」「水700cc」など、数や単位の言い方が出てきます。「灰汁をとる」「乱切り」「炒める」「沸騰したら」などのことばも聞くかもしれません。
今夜もきっとお母さんがカレーをつくるのをお手伝いしながら、この子はたくさんの表現を聞くでしょう。そうして子どものことばは増えていきます。
だからこそ、「お手伝い」を断るのはもったいない。急いでいるときは困るかもしれませんが、そこはぐっとこらえて。時間や気持ちに余裕のある休日だけでもかまいません。ことばを育てるためにも、ぜひ「お手伝い」をしてもらってください。


