年収300万円台で働きながら、資産2億4000万円を築いた個人投資家。決算書のどこに着目すればいいのか、鉄則を披露する。

売買益と配当金だけでこの6年間で資産3倍に

1995年、バイトで貯めた50万円を元手に株を始めました。以後、父と一緒に小さな文房具店を経営しつつ、投資を続けて資産を増やしてきました。

私の年収は300万円台ですが、2017年に資産8000万円を達成。その後は下がり上がりがあり、やはり資産8000万円余だった20年3月に入金したのを最後に、口座内の売買益と配当金だけで資産を増やしてきました。1億円を突破したのが21年で、2億円に到達したのは昨年です。昨年末の時価総額は2億1090万円。昨年1年の配当金は合計618万9700円(税引き前)でした。

株価は年が明けてからも上がり続け、2月27日には2億4600万円に達したのです。ところがその翌日、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃が始まり、現時点(3月4日)で1800万円も目減りしてしまいました。

【図表】資産2.4億円までの歴史

そこで今日は住友金属鉱山を売り、UBE(旧・宇部興産)を買いました。住友金属鉱山は、トランプ関税が騒がれた昨年4月頃に2400円だったのを400株買ったのですが、1万2000円まで上がったので半分だけ売ったのです。とはいえ同社は世界トップクラスの銅鉱山の権益を3つも持っています。銅の将来は間違いないと考えていますので、残りの200株は死ぬまで保有するつもりです。代わりにUBEを買ったのは、中東で戦争が起これば原油の価格が上がる影響で、化学製品を手掛ける同社の株価が下がったためです。私が「買い」だと考える鉄則は後述のように5つありますが、UBEは「割安」「配当利回りが高い」という2つの条件を満たします。

私は、暴落時こそ買い時だと考えています。リーマンショックのときでさえ「金融システムが崩壊したなら、預貯金はどういう扱いをされるかわからない。資産を株券で持っていたほうがいい」と考え、買い続けました。暴落時は優良銘柄のバーゲンセールみたいなものだと捉えるべきです。

私が投資を始めたのは、20歳の大学生のときでした。入門書を何冊か買って勉強し、大和証券に口座を開きました。最初に買った銘柄は、「今月の推奨株」と書かれていた中から東芝と富士通、窓口の女性が勧めてくれたパラマウントベッド、優待が欲しくて選んだモスフードサービスの4つです。

1999年にITバブルが起き、東芝と富士通を1.5倍で売却しました。両社はさらに高騰したので悔しい思いをしましたが。パラマウントベッドも、暴騰したところで売却できました。ビギナーズラックですが、株は簡単に儲かると勘違いしてしまいました。

2002年、金融担当大臣に就任した竹中平蔵氏の金融再生プログラムのせいで、30万円で買ったUFJホールディングス(当時)が5万円台に暴落するなど、830万円まで増えていた資産の半分が消える事態に直面しました。投資のやり方や考え方を根本的に変えるか、いっそ株式投資を止めてしまうか、真剣に悩んだ時期です。

そんな私の投資家人生を変えたのが、村上ファンドの登場でした。財務諸表などから企業の内情を分析し、「モノ言う株主」として経営改革を提案する村上世彰さんの姿は、投資方法の見本に見えました。「私も決算書をしっかり読み込んで、“企業の業績や保有資産価値に対して株価が割安になっている銘柄”を見つけよう」と決めたのです。02年のことです。プロ野球のスカウトが高校野球の地方予選に出向き、原石を探すみたいなイメージです。

これが、現在まで続けている「バリュー株投資」です。割安なときに買い、根気よく値上がりを待つのが秘訣です。対象となる銘柄を探すには、5つの鉄則があります。

(構成=石井謙一郎)