戸籍謄本の入手をロシア人の親友に託す
「リューバ、君は最近ハルビンや奉天に飛行機で行ったそうだね。北京にも用事で行くことはあるかい」「ええ、ときどき」
川喜多さんの頭にひらめいたアイディアは素晴らしかった。戸籍謄本を軍事法廷に提出すれば、日本国籍を証明する有力な証拠として採用されるかもしれない。「おねがい、リューバ。北京に行く機会があったら私の家に行って戸籍謄本をもらってきて」「まかしてちょうだい。近いうちに出張する用事を作るわ」
リューバは1時間ほど雑談して「また来るから、それまで元気でいてね」と手を振り、車に乗って去った。そのとき、つまり1946年(昭和21年)2月上旬以来今日まで、私は彼女に会っていない――。
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