「危険ドラッグ」並みのリスクのある飲み物

それと、近年、「コスパよく酔える」と人気の「ストロング系缶チューハイ」は、肝臓を少しでもいたわる気持ちがあるなら、飲むのはやめるべきだと思います。9%のストロング系チューハイ500mlには36gもの純アルコールが含まれています。これを習慣的に多飲したとしたら、脂肪肝どころか肝硬変に陥りかねません。

ちなみに、薬物依存症の専門家である松本俊彦先生(国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所薬物依存研究部・部長)は、「ストロング系チューハイは『危険ドラッグ』として規制したほうがよいのではないか」という内容の文を2019年末にフェイスブックに投稿しておられます。

私もまったく同感であり、少なくともこれを飲むのであれば、肝機能に与えるダメージの大きさや肝硬変の怖ろしさ、アルコール依存症に陥る可能性などを十分に理解しておく必要があると思います。それを知らずして、気軽に何本も飲んでしまうのは、“自殺行為”と言っても過言ではないのです。

缶からグラスに注いだチューハイ
写真=iStock.com/MichikoDesign
※写真はイメージです

もっとも、こうした健康への懸念を考慮しての対処なのか、酒類販売大手各社にはストロング系チューハイの販売を見直す動きが広まってきています。

すでにアサヒビールやサッポロビールは、今後8%以上の缶チューハイの新商品を発売しない方針を決めていますし、他の大手でも見直しが検討されているようです。

「多くの人に長く健康にお酒を楽しんでほしい」のであれば、当然、こうした見直しがどんどん進められていくべきでしょう。

「やめろ」とは言わない医師の本音

ここまで、アルコールの肝臓に対する弊害ばかりを挙げてきましたが、私はお酒を飲むという習慣を全否定するつもりはまったくありません。お酒はおいしいし、心身をリラックスさせたり幸福感をもたらしたりするなどのよい面もあります。

だから、「やめる」ばかりが能ではない。肝臓の機能を低下させることなく、一生楽しくお酒とつき合っていけるのであれば、それに越したことはないのではないでしょうか。

そのため、私はスマート外来の患者さん方にも、「お酒をやめろ」とはあまり言いません。もちろん、断酒や禁酒をしたほうが脂肪肝治療効果も減量効果も高くなることは分かっているのですが、なかなかお酒をやめられない患者さんに対しては、「とりあえず飲む量を半分にしてみてください」と言うようにしています。

そもそも、アルコールによる肝障害でいちばん避けなくてはならないのは、いまのまま大量に飲み続けて恐ろしい病気である肝硬変になってしまうことです。肝硬変だけは何としても回避しなくてはいけませんが、それを確実に回避できるような「自分にとって適量のアルコール」を日々たしなむのであれば、まあ、許容範囲としてもいいのではないでしょうか。

つまり、アルコール好きの人は、酒量を少し減らして「肝硬変にならない程度に飲む」ようにしていけばいいのです。とにかく、毎日飲んでいたお酒を1日置きにしたり、毎日4合飲んでいたお酒を2合にしたりして、「ひとまず減らしてみる」ことにトライしてみてください。

酒量を減らしてみれば、肝機能の数値が改善してきたり、おなかの脂肪が落ちてきたりといった効果が必ず現われてきます。そういった効果を身をもって感じながら減らしていくほうが、減酒が成功しやすいんですね。