アルコールが脂肪を肝臓へ流れ込ませる

まずひとつめは、アルコールが「皮下脂肪・内臓脂肪から肝臓へ向かう遊離脂肪酸を増やしてしまう」からです。

血液中には皮下脂肪や内臓脂肪から溶け出た脂肪が常に遊離脂肪酸として漂っています。アルコールを飲んでいると、そうした血中の遊離脂肪酸がより多く動員されて、肝臓へ流れていってしまうようになるのです。すると、大量の脂肪が肝臓に流入し、肝細胞内での中性脂肪合成の働きも高まって、肝臓の脂肪化を促進してしまうわけです。

また、もうひとつの理由は、アルコールが「脂肪をエネルギー源として使う機能」を低下させてしまうからです。これも先述しましたが、肝臓には「糖新生」をはじめ、脂肪を変換してブドウ糖エネルギーをつくり出す機能が搭載されています。

アルコールを飲んでいると、この機能の効率が低下してしまい、ろくに脂肪が消費されず、結果的に肝臓の脂肪化が進んでしまうことになるのです。

つまり、普段からアルコールを飲んでいると、肝臓の「脂肪をため込む機能」が高まって、逆に、肝臓の「脂肪をエネルギーとして消費する機能」はダウンしてしまうということ。しかも、アルコールを飲んでいると食欲が増して、ついついつまみをたくさん食べてしまうもの。

日本の居酒屋で出される韓国のフライドチキン
写真=iStock.com/leodaphne
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下りのエスカレーターを逆走するようなもの

油っこいつまみや糖質の多いつまみを好む人も多く、アルコール以外にも大量のエネルギーが入ってくることになります。さんざん飲んで、さんざんつまんだあげく、締めにラーメンやお茶漬けなんか食べたりしたら、エネルギーの過剰摂取で脂肪肝や肥満が悪化していくのも当然ですよね。

私はよく患者さんに対して、「アルコールを毎日飲みながら肝臓の脂肪を落とそうとするのは、下りのエスカレーターを逆走して上がろうとするようなものですよ」と話します。

すなわち、がんばって上がろうとしてもいつの間にか下がってきてしまい、一向に前に進むことができない、非常に効率の悪い努力だということになります。

ですから、脂肪肝を治したいなら、まずはアルコールの量を減らすのが必須。たくさん飲む人も、あまり飲まない人も、とにかく量を減らし、アルコールの弊害をなるべく減らしたうえで減量や脂肪肝改善に取り組んでいくべきなのです。