同じくブルームバーグの取材に応じた別の投資家も、暴落前にポジションを段階的に解消していた。2億元(約42億円)規模のCTA(商品先物などを体系的に運用するファンド)を運営する同氏は、「4800ドル(約74万4000円)を超えると理解の及ばない領域で、そこで稼ぐべきお金ではない」「今は投資ではなく投機に動かされている相場だ」と語る。

ウォール街の大物もベテランファンドマネージャーも、金の価値を認める点では一致する。だが彼らが語るのはポートフォリオの分散やリスク管理の世界であり、友人の勧めで先物口座を開いた主婦が足を踏み入れた世界とは根本的に異なる。

ロシアとの会談に臨む中国共産党総書記の習近平氏
ロシアとの会談に臨む中国共産党総書記の習近平氏(写真=Kremlin.ru/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons

仮想通貨ブームは金へと移った

それでも、金への熱狂は収まっていない。

金銭関連のトラブルを数多く手掛けてきた広州のある弁護士は、絶望する人々にもはや見慣れたという。この弁護士はサウスチャイナ・モーニングポストの取材に対し、「こうした私的投資プラットフォームの崩壊は、最近著しく頻発している」と語る。「2年前はお茶と仮想通貨だったが、今や貴金属だ」

投機の対象は移り変わるが、構図は変わらない。規制の及ばないプラットフォームが高いリターンを約束して個人投資家を引き込み、相場が反転した瞬間、プラットフォームごと破綻して貯蓄が吹き飛ぶ。

相場の急落後も、金を買い求める列は途切れていない。貴金属精製大手ヘレウスのシュペルツェル氏は2月初頭、ブルームバーグの取材で、「特定サイズのゴールドバーは数週間先まで完売している。それでも人々は買い続けている」と明かした。同社がフル稼働で生産を続けるなか、店頭では何時間も並ぶ客が絶えないという。

深圳の地金取引拠点・水貝でも、旧正月前の調整局面を好機とみた個人投資家が宝飾品やゴールドバーの押し目買いに走った。急落すら「買い場」とみなす熱気は、冷める気配がない。

国家が制裁に備えて積み上げた盾としての金を、個人がブームに乗って買い求め、火傷を負う。投機サイクルに終わりは見えない。

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