※本稿は、伊藤滉一郎『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
先生に気に入られない子は中学受験向き
前提として、高校受験ではなく、中学受験をすべきタイプも存在します。まず、競争好きのお子さんは中学受験に向いていると言えます。中学受験塾では、成績順にクラスの序列や座席の配置が決まるところが多く、テストの成績が良ければ教室の前の方の席に、あまり芳しくないと後ろの方に、さらにはクラス落ち……という日々が続くことになります。
こうした環境には向き不向きがあり、競争適性が高いお子さんは刺激的なゲームのような感覚で楽しく塾に通うことができるでしょう。そうしたタイプの子にとって、ライバルと切磋琢磨し、ペン1本で高みを目指すという経験は、本人の成長につながるはずです(※)。
※『「中学受験」をするか迷ったら最初に知ってほしいこと』東京高校受験主義(東田高志)、Gakken、2024年
また、早熟で認知能力は高い傾向にあるものの、社会適応性の面がやや未発達で、先生に気に入られなさそうな子も中学受験向きだと言えるでしょう。言い換えると、明らかに内申点が取れなさそうな子を公立中学に入れ、高校受験市場に参戦させたら、芳しい結果は得られないだろうということです。
尖った才能を殺さないために
そのため、学校の勉強は得意だけれど同級生と比較して精神的にやや幼い・協調性が低めといった傾向が小学生のうちから見られるようなら、中学受験の方が進路の可能性が広がるかもしれません。中学受験では(一部面接があるところもありますが)基本はペーパーテスト一発勝負で、勉強さえできれば突破できます。
将来の会社員人生を考えると、内申点を稼ぐ能力はかなり重要な要素になります。しかし、人には適性というものがあります。どうしてもそれが難しそうな子に、無理やり先生に媚を売る練習をさせ、エリート会社員予備軍に仕立て上げようとしたって無理があるのではないかと私は考えます。
尖った特性を持つ天才肌タイプには、その子に合った道があるのだと考え、中学・高校は学力のみで評価される世界で生きていった方が幸せなのではないでしょうか。
ちなみに、そういった社会性にやや問題ありだけれど勉強はできる「内申弱者」タイプの子におすすめなのは医師や公認会計士などの士業だったりします。

