※本稿は、伊藤滉一郎『子どもが沈まない 親が無理しない 小中高大受験戦略』(日本経済新聞出版)の一部を再編集したものです。
「教育投資=生涯年収が上がる」とはならない
近年、「キャリア」「生涯年収」といった観点から逆算して受験戦略を練るという考え方が注目を集めるようになってきています。首都圏の中学受験は過熱する一方で、早い段階から教育投資を惜しまず行ってきたご家庭が、「今の教育投資が将来どこに結びつくのか?」と考えるのは極めて自然な発想でしょう。
親御さんとしては、塾に課金すればするほど、お金をかければかけるほど、お子さんの将来の可能性が広がっていくと、漠然とイメージされている方も多いのではないでしょうか。
しかし、意外なことに、ひたすらお金を積めば積むほど順調に生涯年収が上がっていくという単純明快な比例構造にはなっていないようです。以降、時間的コスト、金銭的コストと学歴の関係について、詳しく解説していきます。
難関校受験にかかる時間的コスト(勉強時間)を見ていきましょう。まずは、中学受験ルートから。最もスタンダードである、小3の2月から3年間中学受験塾に通い、私立中高に通いながら大学受験を見据えて塾に通うコースだと、一体どのくらいの時間的コストがかかるのでしょうか。
中学受験生の学年別の勉強時間の目安は、小4で約700時間(平日約1〜2時間、休日2時間)、小5で約1100時間(平日2〜3時間、休日4時間)、小6で約1500時間(平日3〜5時間、休日4〜8時間)となっており、およそ3300時間の勉強時間が必要だと言われています。
偏差値50以上なら4000時間は必要
当然ですが、受験が近づくにつれて勉強時間は増えていき、小6にもなるとカリキュラムの難度もぐっと高くなり、宿題の量も増えます。また、これは最低限の勉強時間です。小1から大手進学塾に通う場合など、プラスアルファで時間的コストが発生するケースも近年は多いです。
交流のある中学受験パパさんいわく、今の時代、四谷大塚偏差値50以上の学校を狙うなら、最低でもトータルで4000時間の学習時間は必要だろうとのことです。
また、中学受験は親が負担すべき時間的コストも膨大です。子ども本人の努力のウエイトが大きい高校受験や大学受験とは違い、中学受験は親御さんにも相当量のコミットが求められる「親子の受験」として知られています。
例えば次のようなことが、親に求められる典型的なサポート内容として知られています。
・塾への送り迎え
・塾の宿題、授業プリントの整理
・受験関連の進捗管理(志望校の問題入手、学校見学、願書提出など)
これに加え、親が子どもの勉強に付き添ったり、塾の宿題を手伝ったりすることもあるでしょう。

