車がなければ生きられない
さらに言うと、日本の地方は今後ますます不便になっていく。人口減少は確実に進む。限界集落は増え続けており、飲食店が消え、公共交通機関は縮小し、医療機関へのアクセスが難しくなっているエリアは、これからさらに拡がっていく。
高齢になって免許返納したらすぐさま買い物難民となってしまう。
医療機関に定期的に通っている人。公共交通機関を頻繁に使う人。外食が生活の一部になっている人。そういう人にとって田舎暮らしは「コスト削減」どころか、余計な出費が増え、「生活の質の著しい低下」につながりかねないのだ。
とはいえ、それでも東京の住居にかかる固定費を考えると、地方に拠点を移したほうがコスパはいい。
35歳を過ぎた人たちが東京を離れている
では、実際に地方への移住を決めた東京脱出組はどういう人たちなのか。
総務省の人口移動報告によると、2025年の東京都は転入者が転出者を約6万5200人上回る「転入超過」となった。前年よりおよそ1万4000人減って、4年ぶりの縮小となったものの、依然として東京への人口集中は続いている。
転入組は20代が中心だが、転出組に目を移すと、35歳を境に増えはじめ、ここ数年はよりその動きが顕著になっている。
好奇心旺盛な20代の若者は東京を目指し、30代なかばを過ぎると生活防衛のため地方に新天地を探し求めるというわけだ。
特にここ数年は、少子化対策の一環で、空き家をタダ同然で提供したり、子育て世帯に手厚い支援をする自治体が増えたことも後押しとなっている。
「自然があって癒しがある」という漠然とした田舎のイメージに釣られて決断に至るというのは過去の話で、コスパという実利を積極的に取りに行っている人たちが増えているということなのだろう。

