幼児期の前兆7選
口腔機能発達不全症の症状は、中学生になってから突然に現れるものではありません。幼児の頃から必ず兆候があります。ご家庭で簡単にできるセルフチェックをご紹介します。
【口腔機能発達不全症チェックリスト】
① 風船やシャボン玉を力強く膨らませられない
(唇をすぼめる力不足=口唇閉鎖不全)
② テレビを見ている時、常に口が開いている
(お口ポカン=安静時口開)
③ 硬いもの(お肉や根菜)を避け、柔らかいものを好む
(食べる力不足=咀嚼不全)
④ 食事中に水や汁物をよく飲む
(唾液が少なく飲み込む力が弱い=嚥下異常)
⑤ 食べ物を噛んでいる時に「クチャクチャ」音がする
(いわゆる“クチャラー”=咀嚼音異常)
⑥ 発音が不明瞭で、特に「サ行」や「ラ行」が苦手
(舌足らず=構音障害)
⑦ 朝起きた時、喉を痛がる
(就寝中のお口ポカン=口呼吸)
【判定】
0項目:正常
1項目:経過観察(半年後に再チェック)
2〜3項目:疾患と診断(歯科医院受診)
4項目〜:中等度以上の発達不全の可能性(専門医受診)
7項目の中で特に注目して欲しいのは、①の「風船」です。
風船を膨らませるには、鼻呼吸で吸い込んだ息を、風船と唇で密着して一気に吐き出すことになります。これができない子供は、口腔周囲筋の発達が不十分な可能性が高いです。
口呼吸が増えている根本原因
②の「お口ポカン」(口唇閉鎖不全)は単なる癖ではありません。唇の筋肉が緩み、鼻でなく口で呼吸することが常態化していることが原因です。
新潟大学などが行った調査(2021年、3〜12歳3399人対象)では、全国の30.7%に「お口ポカン」があるとのデータが示されています。当院での最新の臨床経験(2024年、3〜17歳)でも、約半数の子供の唇の力が弱いことがわかりました。
では、なぜ、これほどまでに口腔機能発達不全症の子供が増えているのでしょうか?
背景にはライフスタイルの変化が関係しています。
1つ目は「食の軟弱化」です。
現代の食事は、戦前に比べて噛む回数が激減しています。特にハンバーグ、オムライス、パスタなどは、噛む回数が少なくても飲み込めてしまいます。戦前は、雑穀、麦、玄米など、「硬いご飯」が中心でした。おやつだって、パンケーキやプリンではなく、せんべいやするめ。硬いものが多かった。“噛むこと”が日常だったのです。噛むことは「顎のトレーニング」ですが、その機会を失った現代の子供達の顎は小さく、筋肉も弱くなっています。
2つ目は「スマホやゲームによる姿勢の悪化」です。
スマホを覗きこむ状態はいわゆる「ストレートネック」。頭部が前に出て、相対的に下顎が後方・下方に位置し、気道形態や舌位に影響します。この結果、自然と口が開き、口呼吸が固定化します。姿勢の悪さが、お口ポカン、口呼吸の原因となることは明らかになっています。
そして、3つ目が「マスクの常態化」です。
コロナ禍をきっかけにマスク生活が定着しました。マスクで口元が隠れたことによって、表情筋を使う機会が減少。口周りの筋力が低下につながり、「隠れお口ポカン」激増を後押ししたのです。

