「魅力的な顔」に食生活が影響
人間社会における魅力は、時代や社会事情によって変遷します。これより以前の食糧事情が悪く栄養が足りなかった時代では、ふくよかさが豊かさの象徴として魅力とされていた時代もありました。豊かさは、子どもを産み育てる富を表します。さらに後述するように左右対称の顔も魅力の一つで、遺伝に関わる深刻な病気を持たないことを示すともいわれています。
さて、これらの魅力が人間社会の原始的な雰囲気を残しているのに対し、食糧事情も経済事情も豊かになった現代では、魅力も変化しています。
野菜を多く含む健康的な食生活を送る女性と、そうでない女性の平均顔をコンピュータ・グラフィックスで合成したイギリスの研究(注)があります。どちらの顔が魅力的かを調べたところ、健康的な食生活を送る女性の顔が選ばれました。
さらに健康的な食生活を送って魅力的と判断された顔の特徴を分析したところ、肌に違いがあることがわかりました。肌のツヤや滑らかさは重要ですが、それにもまして重要だったのは肌の色でした。
野菜に含まれるカロテンが入った食べ物を摂取すると、肌が黄色味を帯びるのです。たとえば、フラミンゴのピンクの羽も食べ物の色素によるものです。それと同様に、カロテンの効果が肌に表れるというのです。
注:Perrett, D. (2017). In your face: The new science of human attraction. Bloomsbury Publishing.
白い肌は病的に感じられることも
にわかには信じがたい話ですし、美白好きの日本人からすると意外に思うかもしれません。しかし、コンピュータ・グラフィックスで肌色を変化させた顔を評価させた実験では、少しだけ赤黄色い色をほどこした肌の女性のほうが、健康的で好ましいと評価されることがわかりました。しかもこれは白人だけではなく、黒人もアジア人も共通していたのです。
また、ある程度日焼けした顔のほうが魅力的であることも示されました。昔ながらの白い肌はむしろ病的にも感じられるようで、現代らしい健康的な生活が魅力に結びつくという結果が示されたのです。
健康を示す肌の色が、日焼けやカロテンを含む黄色い肌にあると言われたとしても、多くの日本女性は納得しないのではないでしょうか。日本では「色白は七難隠す」ともいわれ、化粧品会社の宣伝で美白と美肌が強調されてきたように、日本女性の美白へのこだわりは圧倒的です。その背後には、美肌をめぐる別の要因が働いているようです。
その要因を考えるために、健康とは逆の肌の劣化状態について考えておきましょう。肌の劣化には、不健康な生活によるものも大きいことは事実のようです。

