「たんぱく質のとりすぎ」は心配無用

「肉を食べろというけど、たんぱく質のとりすぎで腎臓が悪くなったりしない?」

真面目な方ほど、このように心配されるかもしれません。

しかしはっきり申し上げますが、日本のシニアの食生活において、たんぱく質のとりすぎを心配する必要はまずありません。圧倒的に多くの方は、不足を心配すべきです。

おそらく、意識して「食べすぎかな?」と思うくらい食べて、ようやく推奨量である男性60グラム、女性50グラムに届くかどうか、というのが現実です。

腎臓に重篤な疾患がある方以外は、食べすぎを恐れる前に、「どうやってノルマを達成するか」を考えてください。

とはいえ、胃腸が弱くて急に肉をたくさん食べるのは難しいと感じる方もいるでしょう。そこで提案したいのが、今の食事に肉を50グラムだけプラスするという作戦です。

肉50グラムとは、だいたい薄切り肉2〜3枚分です。うどん屋に入ったら「かけうどん」ではなく「肉うどん」にする。ラーメンなら「チャーシュー麺」を選ぶ。サラダを買うなら「蒸し鶏」が乗っているものを選ぶ。

これだけの工夫で、50グラムの肉(たんぱく質換算で約10グラム)を上乗せできます。

ラーメン
写真=iStock.com/sigemin
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ステーキが無理ならアイスクリームを

それでも、「食後に胃がもたれてしまいそう……」という方も多いでしょう。

そもそも欧米人と日本人では胃腸の強さが違います。80歳になっても平気でTボーンステーキを食べる欧米人もいますが、日本人は40歳をすぎたあたりから、脂っこいものが苦手になる人が多いのが現実です。

しかし「胃が弱いから」とあっさりしたものばかりを食べていては、どんどん体が枯れていってしまいます。

そこで提案したいのが、「デザートで脂質をとる」という戦略です。

食欲がないとき、ぜひ食べていただきたいのが「アイスクリーム」。それもあっさりした氷菓ではなく、乳脂肪分が10%以上あるような濃厚なバニラアイスを選んでください。

アイスクリームなら冷たくて口溶けがいいので、肉がのどを通らないときでもスルスルと食べられます。それでいて、効率よくたんぱく質と脂肪を補給できます。

「甘いから糖分が心配」という声も聞こえてきそうですが、シニアにとっては、糖質過多よりエネルギー不足のほうがよほど害悪です。

私が診ている認知症の患者さんたちも、甘いものを食べているときは本当に幸せそうで、機嫌がよくなります。人間にとって「甘い、おいしい」と感じる幸福感は、生きる意欲そのもの。

あまり食欲がない日は、アイスクリームをご飯がわりにしてもいいくらいです。それくらい柔軟に考えてください。