超富裕層が教える「購買行動の本質」

サザビーズ・インターナショナル・リアルティのレポートによれば、アメリカでは、2025年だけで約6兆ドル(約960兆円)もの資産が相続によって次世代に移転した。

興味深いのは、ラグジュアリー不動産市場で購入された住宅のうち、「一次住宅」として買われたのは51%にすぎなかったことだ。残りは「セカンドホーム」や「ポートフォリオの一部」として取得されている。

フロリダのビーチハウス、ニューヨークのペントハウス、ロンドンのタウンハウス……。

超富裕層は、不動産を「ポートフォリオの一部」として分散保有している。それらは「住む場所」ではなく、「資本を置く場所」「ライフスタイルの選択肢」「リスクヘッジの手段」として機能している。

つまり、超富裕層は「モノ」を買っているのではなく、「自由」を買っている。住む場所を固定しないこと自体が、究極の贅沢なのだ。

「『住む場所』と『資産を置く場所』は、分けて考えるべきです」

小嶋氏の言葉が、再び響く。

この思考法は、すでに一部の年収1000万円以上の層で浸透し始めている。都心と郊外(リゾート)に2つ家を持つという発想だ。

これは、コロナ禍を経てワーケーションやリモート会議が根づいたことも大いに影響している。

資産を守る5つの思考法

この思考法を取り入れるのに必要なのは、決して「収入の高さ」ではない。

小嶋氏は、5つのステップを提案する。

第一に、「家=一生に一度の買い物」という固定観念を捨てること。住む場所は人生のフェーズに応じて変わっていい。

第二に、「資産」と「消費」を明確に区別すること。超富裕層が8億円の家を買うのは、それが「資産」になる勝算があるからだ。一方、身の丈を超えたローンを組んで湾岸タワマンを買うのは、前述のように、「消費」になるリスクが高い。

第三に、「グローバルな視点」を持つこと。日本の不動産しか見ていないのは、視野が狭すぎる。

第四に、「長期的な視点」で考えること。10年後、20年後にその国の経済がどうなっているか、人口動態はどう変化するか――そうした長期トレンドを見据えて投資する。

そして第五に、「行動すること」。

小嶋氏は言う。

「アメリカでは、『石橋を叩いている間に、隣の人が川を泳いで渡ってしまう』。リスクを取らないことも、また一つのリスクなのだ」