“父親になる覚悟”が八雲を動かしたか
……いや、こうしてみると八雲は別に聖人君子でもないし、できた夫でもない。単に不安ばかりが募って、先延ばしをし続けた男である。それが、子供が生まれて初めて重い腰を上げた――そう考えると、妙に親近感が湧いてくる。
金の不安を抱えながら散財し、帰化を先延ばしにしながら家族を養い、それでもセツと一雄のために損な選択を最終的には選んだ。父親になるという覚悟が、この男をようやく動かしたのだ。
八雲はそういう、ごく普通に矛盾を抱えた人間だった。
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