始まったICEの横暴

現在の刑務所は2023年にオープンし、4万人が収容できる。テロリスト拘禁センター(CECOT)という呼び名がついている。だが、全身に入れ墨した本物のギャングが詰め込まれている点は、当時もいまも変わらない。そんな中に、ニクソンは放りこまれたのだ。弁護士もつかず、いつ出られるのかも分からない地獄に。

テロリスト拘禁センター(CECOT)
テロリスト拘禁センター(CECOT)(写真=La Prensa Gráfica/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons

犯歴のないニクソンが、どうしてエルサルバドルの刑務所に送られたのか。24年7月末、ニクソンの家族が住むオーロラ市のノーム・ストリートのアパートで銃撃事件が起きた。TdAのメンバーと目される男が殺人容疑で逮捕された。

事件の翌日、自宅アパートの玄関前に落ちていた薬莢を掃除していたニクソンと兄のディクソン(21)を、警察は証拠隠滅容疑で拘束する。兄弟は「TdAギャングや銃撃事件とは無関係だ。関係していると思われたくないので薬莢を片づけた」と訴え、釈放された。警察も「兄弟はTdAギャングのメンバーではなく、他のギャングのメンバーでもない」と認めた。