「春は出会いの季節」ではなくなりつつある
「春は出会いの季節」
誰もが一度は耳にしたことがある言葉が、いま「死語」になりつつあります。
もちろん、今でも春になれば新入生や新社会人の姿があり、新しい顔ぶれとの出会いそのものがなくなったわけではありません。しかし、こと「社会人の恋人探し」という文脈においてはどうでしょうか。
かつて、日本の春には確かに恋愛における「出会いの春」がありました。それは職場恋愛という「社会のお膳立てシステム」が強力なインフラとして稼働していたからです。
新入社員を歓迎する社内行事、世話焼きな上司による絶妙な仲介、そして定期的な社内異動――。本人の意思にかかわらず、出会いはベルトコンベアのように運ばれてきた時代でした。企業は、人生設計や家族形成までをも、ある種の「福利厚生」としてバックアップしていたのです。
一方、現在は、そのインフラは「コンプライアンス」という強烈なブレーキによって完全に停止しています。かつて当たり前に存在していた「上司の紹介」や「職場での飲み会」は、今やハラスメントの温床として忌避されるようになりました。
にもかかわらず、かつてのインフラが消滅した更地の上で、「春になれば、自然と出会いがあるはずだ」と期待を捨てきれない人は、今もなお多いのです。

